刀剣、成り代わりでもトリップでもない話
 2016.10.24 Mon 23:34
すんげーどんくさくて刀剣たちに助けられてやっと仕事をこなせてる審神者の話。

どんくさいし、おどおどしてるし、書類できないし、叱ると怯えるしで刀剣たちもちょっと呆れ気味。
それでも「持ち主」だし、自分たちが余計に必要とされるので密かに嬉しいと思ってたりした。
能力の低さに呆れつつ、みんなで助けて運営していくスタイル。

しかし、所持数10振りくらいまでは問題なかったけど、20振り30振り40振りとなるにつれだんだん手が回らなくなった。
多人数でただでさえ偏りが出てくるのに、審神者は霊力を保つために部屋に閉じこもって禊と瞑想三昧。
決まった刀剣が決まった業務をやるだけで、他の刀剣はほぼ審神者と接触できない。
日課はこなせてるけど、だんだんと不満がたまっていく。
わりと崩壊の危機。

そこで現状を憂えたこんのすけにより、審神者すげ替え計画が水面下で進行する。
それをこっそり打ち明けられた刀剣は否定するけど、不満が足かせとなり否定しきれない(そういう刀剣を選んで話す)。
これはいける…!と判断した政府、本丸に見習い投入。つ「出来のいい審神者の妹」

一応、審神者の霊力で顕現された刀剣に配慮して霊力の似た人を用意したつもりだったが、
出来のいい妹が不出来な姉をどう扱うかってまあテンプレ→「お姉ちゃんのものは私のもの」

審神者にはできない量の業務をさらっとこなす妹に刀剣も好意的に。
着々とすげ替え計画が進行していく。

そしてついにXデー!全員集合の大広間で審神者交代という名の弾劾裁判が始まる!

「ここは私のものになったのよ!さっさと出て行って!」

ドヤ顔の妹、始めは気まずそうにしていた刀剣もちらほら不満を言い出し、一方的な吊るし上げに。
さて泣き出すか、逃げ出すか……と思われた審神者、急に爆笑しだす。

刀剣も妹もこんのすけもポカーン。
だって審神者が声を出して笑うの初めて見た、微笑すら珍しいのに。
これはやばい、狂ったか?と怪しまれるが、ひとしきり笑った審神者が涙を拭きつつ

「あーこんなに笑ったの久しぶり。わかった、じゃあお望みどおり出て行こうか。みんなおいでー」

あっけにとられる刀剣たちの中から、何振りかが颯爽と立ち上がって審神者に続く。
(神力高いレア刀剣は審神者の裏に気づいてるでしょう、という意味で三日月・小狐・鶴丸は確実に入ってる)
えっ?えっ?と意味の分かっていない妹に満面の笑みで

「ありがとう、身代わりになってくれて!ほんッとーに面倒くさかったんだよね!!だってそうじゃん、何が悲しくてこの年で中間管理職みたいな激務こなさなきゃなんないの?しかも事務とかならまだしも、歴史を守るため戦いに身を捧げるって……厨二病かってのwバカスwでもまあ一年ですんげー金たまったし、霊力の扱い方も勉強できたし、この先あんたたちから干渉されずに遊んで暮らせそうだよ!一生分の労働を先払いしたと思っとくわ!そろそろ逃げたかったからほんとありがとうねー!ついでに姉妹の縁はご神刀にぶった切ってもらったんで、もうあんたとは妹でも何でもないから二度とそのツラ見せんなよ他力本願。あ、それから『私の』刀剣は全員ついてくるらしいから、退職金代わりにもらってくねー。あんたの言動に大分怒ってたから色々置き土産したみたいだよ。レア刀剣が二度と来なくなる呪いって本当にあるんだねw都市伝説かと思ってたわwww」

審神者は爆笑、そばで一緒に笑う刀剣はこれ見よがしにドヤ顔。
思わず止めようとするこんのすけに

「最後の餞に教えてあげるけどさー、審神者にしかできない業務をただの刀剣がやれてた理由って考えたことないの?見習いでしかないそこの女になんで手入れとかできたかって考えなかった?その女の力だと思った?残念、全部私の霊力でしたー!」
「ぬしさまは人の子とは思えぬ膨大な力をお持ちですからな!」
「本丸に満ちた主の力があれば、本来鍛刀も手入れも不要だったことにまだ気づかんのか。哀れだな」
「まあ、そういうことだ。蚤の如きささやかな力しか持たぬそなたたちの『主』が、これからどうやって本丸を動かすのか……興味はあるが、俺たちは主の供をせねばならん。気が向いたら教えておくれ」
「滅多なことを申しますな。縁が結ばれれば厄介ですぞ」
「あるじー、早くいこー。ここ空気悪ーい」
「あーじゃあ、行こっか。じゃあ皆さんバイバイキーン☆」

実はやればできる子でした。
どんくさいのもおどおども演技です。

膨大な霊力の兆しがあるからって就職内定を政府に潰され、強制的に徴兵されたせいでふて寝してたら出来ない子認定され、みんなが仕事やってくれるように。
こりゃいいぞということでどじっこを装いサボる。審神者ならこのくらいできろよって上から目線はすげー腹立ったけど我慢。
しかしいつかは逃げたいので、政府の追っ手を振り切るくらいの霊力を身につけようと練習を始めたら神力高い組には即バレた。

瞑想と称してダラダラしてた部屋に、まず鶴丸が乱入、いろいろ意気投合。
鶴丸の手引きで三条組と仲良くなり、蛍丸や太郎太刀などの宝剣組が加入、力には気づかなかったけど主のやることは?ぜったーい!の長谷部・蜻蛉切が仲間に入りたそうにこちらを見ている!
まあ別にぐうたら主でもいいならかまわん。書類が出来ないのは本当だし。

そんな感じで、自分を理解してくれた刀剣のみ引き連れて現世へ帰りました。
政府が必死になって呼び戻そうとするけど、山奥の広い屋敷に結界張ってるので探せません。
いつまでも幸せに暮らしましたエンド。

これ、味方が一人だけでもいいな。
鶴丸だったら(鶴丸が自分しか味方がいないように持っていったら)ヤンデレエンドっぽい。
三日月だけだったら介護エンドか。二人で昼寝ばっかりしてるわ。

実はちょこちょこやってくる追っ手をその味方がこっそり一刀両断に葬ってたらいいと思います。血生臭いけど。
「この泰平の世でも人を斬れるとはなあ……」みたいな呟き!よくないですか!

精神状態が逼迫すると、おだやかなハッピーエンドネタは浮かばない不思議。
やってやったぜ!的な話も好きです。

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