『死にたい。』

それは誰しも一回は思ったことがある言葉。俺も死にたい。いつだって死にたい。
多分物心ついた時から死にたいと思っていただろう。

猿飛佐助はそんなことを思っていた。
死にたい。いつだってそう思っていた佐助は死ぬことを選んだ。
だけど、中々死ぬとは難しい。そんなことを考えながら冷えてきた体を擦って、学校の屋上から下を見ていた。
そんな時、ギィとやたらと煩い屋上のドアが開いた音がした。
バッと反射的に振り向く佐助。そこにいたのは風魔小太郎だった。


「なんだ、」

そう呟いてまた下を見る佐助。
小太郎は黙ったままで佐助の隣に行ってから、
フェンスをジャンプしてフェンス越しに佐助を見た。


「死ぬの?」

佐助が聞いた。小太郎はゆっくり頷いた。
佐助はちょっと驚いた表情で小太郎を見てすぐに笑って言う。


「ねぇ、一緒に死のう?」

「…?」

今度は小太郎が驚いた表情になった。…顔は見えないが。


「俺様、こんなくだらない世界にあきあきしてるんだぁ。
だから今日、死のうと思ったの。」

佐助が苦笑しながら言うと小太郎はふっと口元がちょっとだけ緩んだ。


「い イ よ…?
一緒ニ、死ノウ?」

始めた小太郎の声を聞いた佐助。ははっと笑って言う。


「初めて喋った言葉がそれ?」

しかも、所々片言だし。そんなことを言われると思ってなかったのか小太郎はこてんと首を傾げた。


「まぁいいや、んじゃ一緒に死にますかねぇ」

佐助はそう言うとひょいとフェンスをまたがり、小太郎の隣にいた。


「じゃ、逝こう?」

「…う、ン」

小太郎がそう言うとスッと下に落ちていった。そして佐助も……。



数秒後、グチャと言う血と肉と、何かが落ちる音がした。そして、誰かの悲鳴も……。








 

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