俺たちは純粋な正三角形を画く。


【CHOOSE Δ】


いつから始まったかなんて思い出せない。
気付いたときには渦中に放り込まれていた。
俺と謙也と財前。
皆で画く正三角は、正確なバランスを保って存在していた。誰もが壊すのを恐れている。そう思えた。



昼休み、俺は謙也に声をかけた。

「謙也、今日一緒に帰らへん?」

「えっ、うーん……、ええよ」

“何でも素早く”がモットーの謙也が言い淀んだ。
俺に向けられた「うーん……」を言い換えれば、「ホンマは財前を誘って帰ろうと思っとってんけど」になることを俺は知っている。


俺は謙也が好きだ。
謙也は財前が好き。
そして財前は俺のことが好きなのだ。


お手本のような、救いようのないほど美しい三角関係。


「ええよ」という返事は嬉しかったが、手放しに喜べはしなかった。
常に緊張が解けない。
いつ、誰が三角形を崩してしまうのか。
落ち着かないが、アンテナを立てて二人の挙動に気を巡らせていないと、更に不安だった。

俺たちは誰も相談なんてしていない。
告白さえまだだった。
それでも自分を見つめる目に気付くのは、「好きな人の好きな人」に深く注意していたからだ。
俺と財前は、自分に向けられた矢印に気付いている。
でも謙也は違う。謙也は俺の気持ちに気付いていない。もしくは、気付いていることを悟らせていない。昔から謙也は、考え無しのアホに見えて直感が働くというか、妙に鋭いところがあった。だから気付かないフリが上手いだけで、本当は気付いているのかもしれない。


誰もが皆、想いを裡に抱えている。


今日は空が澄んで濃く青い。
青空の下息を吐いたら仄かに白く浮いて、今が冬だと思い出す。
卒業までにこの三角形はどうにかなるのだろう。
予感のようにそう思った。
誰の想いが遂げられるのか、それとも誰も上手くいかないのか。そこまでは分からないけれど、確実に何かが変わる気がした。

遠くを見上げた視線を戻し、俺は歩き出す。
生きていることを確かめるように、一歩一歩しっかりと地面を踏みしめた。足の裏に伝わる感覚が確かに今俺が生きている証だった。
そうして校門に向かう途中、



【Q1】

→後ろから手を掴まれて財前に話しかけられた。

→謙也の姿が見えたから一直線に駆け寄った。










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