ボツネタ(※死ネタ)
 2010.05.23 Sun
100年後までさようなら





雲一つない晴天の日でした。
あなたが外へ飛び出して、笑っていそうな日和の話。


「起きて」

私は呟く。日の光を浴びながら眠るあなたの横に座り込む。
眠っているはずなのに、あなたはいつだってほんの少し微笑んでいた。

「起きてよ」

手を伸ばして、体をさする。そうするとあなたはようやく大きなあくびをしながら、目を覚ます。
「おお、おはよう」
満面の笑みで、あたしの頭を豪快に撫でて、乱れた髪を整えながら文句を漏らす私に、優しいキスをするのだ。

「ねえ起きてよ」

「おお、おはよう」

「起きて」

「よお寝たぜよー」

「起きて」

「そげな顔せんで」

「たつま」

「笑っとおせ」


あなたが笑うから私も笑った。

あなたがいない世界に取り残されて、私はどうすればいいのだろう。

例えば、すべて嘘ならば
あなたの悪いおふざけだったら救われた。泣き出した私に気付いて、起き上がるんじゃないだろうか。
「すまんのう。でも、うまい芝居じゃったろう?」
申し訳なさそうにそう言って、少し茶化して誤魔化して、私の涙を拭ってくれるんじゃないだろうか。

だって、そう思えるほどにあなたは変わらない姿のままでここにいる。


「どうして」

あなたが、笑っている気がしたの。
笑ってくれる気がするの。
誰も恨まないあなただから、自分だけ責めるあなただから、きっと天国よ。
おめでとう。よかった。
雲一つない晴天だから、さすがのあなたも迷わず真っ直ぐいけるでしょう。


「起きて」
あなたに頼る言葉は縋る言葉はここに置いてくから。
「どうして」
あなたを責めるのも困らせるのも終わりにするから。


あなただけにさせて下さい。


100年もつかもわからない人生で、
だけど、100年もある人生の中で、
あなただけ想わせて


1週間は泣くだろう
1ヶ月は沈むだろう
一年間は引き摺るよ
そして100年あなただけ



「たつま」

これからどうしようか。
あなたのいない世界で、それでも笑おうか。






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