父の事
 2010年08月19日 (木) 15:11


今朝仕事でたまたま工業地帯を通った時、地図上に見覚えのある社名を見つけた。父が勤めていた会社だった。

両親は自分が中学生の時に離婚した。理由は知らない。小学生の頃は父の仕事を聞いてもさっぱり理解出来なかったが建設会社だったらしい。
ところが実際にその場所を通ってみると、地図にあるそれとは違う会社が建っていた。
いつごろからだったか、父が仕事を辞めたか何かしたのは子供ながら感じてはいたのだがそういう事か。

まさか二十歳になって聞くつもりも知りたくもなかった真実に遭遇するとは。わからないもんである。

父は朝早く夜は遅かったが日曜は家にいた。会話はほとんどした事がない。とにかく無口で向こうから話しかけてくる事はなかったし、こっちも話す事など無かった。
私と姉が小学校に上がるまでは休日にはそれなりに家族で出掛けていたようだけど、俺の記憶には無い。少ない写真に残っているだけだ。
いない方が楽だったしいなくなって良かった。極端な奇麗好きで風呂も洗面所を使うのも異常に長かった。煙草は臭いし鼾がうるさかった。
親子なのに関わりが無さすぎて、好きも嫌いも無い、ただ居るだけの存在だった。

家の中での俺の無意味な無口と、ヘッドホン爆音で音楽を聴くのは父親譲りか。




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