「お泊まり会?」


「Yes.しかも毛利んちで」


「…俺ら招待すらされてねぇよな」


「野獣二匹に女子一人だって…?不埒な行いは学校で禁止されている筈だけど」



話しながら全員の視線は窓から見える室内に向けられていた。制服姿の四人が丁度良い高さに伸びた木によじ登り、そこに身を隠して中を覗く様は何とも滑稽で怪しい。実際他人様の家の敷地内に不法侵入している時点で犯罪だ。見つかったら当たり前だが捕まる



「で、何でテメェまでついて来たんだよ。まさかうちの学校のpresidentに覗きの趣味があったなんてな」


「勘違いしないでくれ、僕は君達不良とは違うんだ。ただ規律を乱す恐れのある生徒を見張りに来ただけだよ」


「ま、いいけどよ。風魔は飽きたっつって帰っちまうし慶次もなんだかんだ言って三人だと知った途端他の女子との約束が〜とか言っていなくなっちまったし。何するにも人は多い方がいいだろ」


「つまりどうせ傷付くなら皆でって言う…」


「やめろよ猿飛!べ、別にアイツらが仲良くしてたって俺にゃ関係ねぇしー!」


「ごめん親ちゃん、今の親ちゃんを見てると俺様なんだか心が痛い」


「Look at!毛利が動いたぜ」



政宗が言うなり皆口を閉じて再び室内に目を向ける。どうやらこの家の主らしく飲み物を振る舞う為台所へ向かうようだ



「何だアイツ似合わない事しやがって」


「俺らが行った時は『喉が渇いた?フン、自分で買って参れ。勿論我の分もな』って一蹴されたような」


「そうか、てっきり君達は友人同士なのかと思っていたけど、そう言う関係だったんだね」


「Hey竹中、今憐れみ全開の目で俺達を見下したな」



室内では残された幸村とかすがの二人が仲睦まじく談話している。元親が何やらソワソワと落ち着かない様子で二人を見ていたが、二人の事をよく知る佐助は得意になって大丈夫だと言った



「何焦ってんのさ親ちゃん。相手はあの旦那だぜ?毛利の旦那ならともかく、恋愛に疎いあの二人の事だし、なーんにもないって」

「で、でもよぅ猿飛、真田だって男だぜ?」


「外はね。けど中身は小学生かそれ以下のレベルだよ、旦那は」


「まあ…それもそうだな」



ところが、もう一度二人へ視線をやった佐助が青い顔をして固まった。何かと思い佐助の視線を追った元親も同様に




「おやおや。どうやら幸村くんには後日生徒会室に来てもらう必要があるみたいだ」


「真田の野郎…!ぶった斬る!」



政宗の殺気が込もった視線の先には、正面からガッシリとかすがの肩を掴む幸村の姿があった
普段の様子からは想像もできないような大胆な行動に一同は唖然とする



「あのな真田、確かに肩を揉んでくれとは言ったが、普通これって後ろからやるものじゃないか?」


「そうであったか!これは失礼致した!」



実際二人の会話は何てことないこんなものであったが、遠くから覗き見をする四人にその会話が聞こえている筈もなく、大それた勘違いが生じていた



「んな…っ真田の奴今度はかすがの背後に回ったぜ!?」


「しかしかすがくんも全く抵抗しないどころか、満更でもなさそうだね。あぁ、まさか二人は既にそう言う関係…」


「嘘だああああ!俺様そんなの許しませんからね!」


「うるせえmonkey!すすすこっ少しはお、おっ落ち着きやがれ!!」


「静かにしろォォオ」



そう言った元親の声が一番大きかった
やがて盆に麦茶を乗せた毛利が部屋に戻ってきた。二人の様子を見ても全く動じない上に、何事もなかったかのようにかすがの隣に腰を降ろした。覗き見をする四人はそれぞれ間抜けな声を上げて驚く

すると今度はかすがが徐に足を投げ出した。何の躊躇もなくその両足を毛利が握ったのだから、状況がいまいち把握しきれていない四人は思わずふらつき木から落ちそうになった



「すまない、最近文化祭の準備やらで重いものを運ぶ機会が多かったからな。足が疲れてしまって」


「リンパマッサージに関しては偶然本の中で見かけただけだ。そう効果を期待するでないぞ」


「ああ、充分だ。ありがとう」




「なにあれぇぇえ!?なんで!?なんでかすがってばあんなセクハラ受け入れてんの!?蹴り飛ばせよいつも俺様にするみたいに!」


「よく見たまえ、何やらマッサージをしているようにも見えないかい?」


「Massage!?んなもんsexual harassment以外の何物でもねーよ!」


「君達が彼女に対して行った場合はね」


「オイオイ!毛利や真田に下心がねぇと言い切れんのかよ!」


「少なくとも君達よりかはね」


「んだとコラァ!」




木の枝が揺れてガサガサと音を立てるのにも構わず、四人は喧嘩腰になっていた
佐助に至っては半分放心状態だ



「かすが殿、力加減はどうでござろう?痛くはないか?」


「ぅ…んっ、丁度良い。はあ、うまいな真田」


「そっそうでござるか!?ならばっ」


「あっ、そ、そこ…っそこもっと…。ぁっ痛っ、毛利!そのツボいたいっ」


「フン、不健康な証拠ぞ。少しは我慢するがいい。やりにくい、もっと足を開け」



かすがの艶を含んだ声に、後ろから肩を揉んでいた幸村は顔を真っ赤にした。鼻からは赤い液体が滴り落ちている。足ツボを押す毛利のそれは単なる言葉責めと化していた



「旦那アアアアアアアア!」


「下心隠し切れてねぇどころか滴り落ちてるよ!!?」


「かすがくん、元就くんに何か言われて涙目になっているね」


「あの野郎遂に本性現しやがった!乗り込むしかねぇ!」


「まあ待ちなよ、彼らにもそんなつもりはないのかもしれないし、様子見にしよう」


「だってよォ、泊まりだぜ!?これから待っていることと言やあ…」


「まず危険なのはbath timeだ…、次に一番無防備になるであろうsleeping time.意識の覚醒していない寝起きも危険だ…」


「どうすんだよ!俺様のかすがってばあんな野獣二人に囲まれてちゃ無事朝を迎えられるかどうか…っ」


「猿飛くん、君さっきまであの旦那の事だからどうのこうのって自信満々に話してたじゃないか」


「いいか、今夜一晩ここで奴らを監視するぜ。ぜってぇかすがを好きなようにはさせねえ!」



ここにきて一致団結した四人は、ジャンケンで誰が夕飯を買ってくるか、等を決めていた。その頃室内ではかすがのマッサージを終え、再び談話に戻ったところだった



「なあ、明日は何する?」


「そう言えば特に決めておらぬ」


「我もだ。どこか三人で行ける暇つぶしになるような場所はないか」


「映画はどうだ?今一つだけ見たいのがあるんだ」


「賛成でござる!」


「そうだな、それも良い」


「よし!これで明日の楽しみが増えたな」


「某ワクワクしてきましたぞ!」


「ああ、と…そろそろ夕飯にするか」


「そうだな、腹が減った」


「今日の夕飯は何でござるか!?」


「大したものではない。その前に…少し待っておれ」



「?毛利、どこ行くんだ。買い出しなら私も…」


「いや、外のうるさいウジ虫共を殲滅してくる」











リバースのぽぽん様より相互記念で頂きました!予想以上の素敵な小説に興奮しておかしなテンションになってしまいました(^q^)
ぽぽん様大好きですぅぅぅ!!!!!←オイ

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