SSにもならない短い文とか
思いついたフレーズとか
BLGLNLその他混在
無法地帯です注意!
2023.07.19 Wed 11:47
*BL注意*
「最初に温度差があったのは、今さらどうにもならないから、あんまり目くじら立てないでほしいんだけどな」
「今はないみたいに言う…」
「うん。だってないからね、温度差」
「…うそばっか。あるじゃん、おれのほうがすきじゃん。…おればっかじゃん」
「温度差なんてないよ。すきだよ。何度も言ってるけどね、わかんないふりするのやめな」
「…わかんないよ。いつから、すきになってくれたの」
「わかんない」
「じゃあおれはもっとわかんないじゃん」
「すきになるのに過程ってそんなに重要かな」
「過程じゃない、理由」
「理由ねぇ…、それこそ意味ないと思うけどね。でも、まあ、これ以上だだこねられてもつまらないから、いっこだけね」
冷たくて、さらっとした手が、おれの手に重なる。
先輩は「あったかいね」とやわらかく笑う。
「僕の手がおまえにあっためられて、あったかくなるの。僕はこれがすき。気持ちも一緒だよ。熱平衡、わかる?」
「…わかんない」
「冷たいのとあったかいの、ふたつがくっついた時にね、冷たいほうにあったかいのが流れて、同じ温度になんの。僕の気持ちもいっしょ。おまえの気持ちが僕に流れて、同じになったの。…わかる?」
「…流されたってこと?」
「なんでそうなるかな…。いや、まあ、いいや。流されたって思ってもいいよ。でも同じ気持ちなんだってわかってて」
2023.07.19 Wed 11:18
「人間として生きて、人間として死にたい」
願うことなんてそれだけだ。たったそれだけがどんなに難しいことかわかっているけど。
2023.07.16 Sun 23:14
どこにもいかないで、なんて嘘だ。
どこにいってもいいよ。ただ、どこにいったって戻ってきてよ。ここがお前のかえるところなんだって、そう思わせて。
2023.07.15 Sat 23:31
僕のことだけを考えて、僕の言葉に頷いて、僕にだけ縋る君だったらどれほどよかっただろう。そう思うと同時に、そんな君が目の前に現れたら、いっとう惨い方法で殺してやろうと思う、そんな自分もいる。ガワが君なだけならそんなものには意味がないと、わかっているからだ。
2023.07.05 Wed 15:58
「そうだけどさ…でもそれってなんか失礼だろ」
「そう? 人間なんだから当たり前じゃね」
むしろ失礼だってわかってて、俺のいうことに同意しちゃうのお前。そっちのがよっぽどじゃね、とは言ってやらんのだ俺は。
2023.07.05 Wed 14:51
ドミノが一瞬で倒れるみたいに、ぜんぶ、ぜんぶ、台無しにしてやろうと思っていたのに。
2023.07.04 Tue 16:59
*BL注意*
「俺のどこがすきなの?」
顔?と聞けば、「顔はそんな好みじゃないです」と言う。
あげく、ちょっと胡乱げな顔で「先輩は自分の顔が人好きすると思ってるんですねぇ」とまで言われて、ものすごく殴りつけてやりたい気持ちになった。
思ってねーよ、別に。
「つか、そんなこと知りたいんですか? 振ったのに?」
「それは、…まあ、振ったけどさ。なんか、気になった」
ふーん、と言って、沈黙。なんか言えよ。
そう思いながらも、自分のデリカシーのなさにちょっとだけ引いた。「振ったのに?」なんてあまりにももっともすぎて。
「あー、ごめん、俺戻るわ」
気まずさに耐えきれずに踵を返そうとしたのを、くんっと引っ張られて、少しの間のあと、背中に温かいものがふれる。耳元で、声がする。
「先輩のお人好しなとこ、優しいとこ、すき。びっくりした時に目、2回ぱちぱちって閉じるとこも、かわいい。眠そうなときの声、低くて、すき。…なんだかんだ俺のこと、かわいい後輩だと思ってくれてるとこも、すき」
2023.07.03 Mon 12:00
*BL注意*
「そんなに女がいいなら、そっち行けば?」
温度を感じさせない声で吐き捨てるようにいわれたその台詞で、少しだけ浮足立っていた俺の心は急速に冷えていった。
ああまずい、やらかした。
自分の意図していない方向に事態が進んだことを察したが、ではここからどう弁解するか。いまだかつて見たことのない目でこちらを見る恋人を、どう納得させるか。
咄嗟に出そうになった言葉は「ごめん」だったが、喉まで出てきたそれを飲み込んだのは、今思えば本当にちんけなプライドだったと思う。
ここで謝れば、このあほみたいな茶番の意図をこの男はたやすく読み取るのだろう。そしてあの大嫌いな顔で俺をからかうのだ。そんなことはごめんだ、末代までの恥、万死に値する。そんなふうに、自分の保身に走ったのが良くなかった。
ほんの数秒の空白の間に、向かいに座る男の機嫌は最下点に達していた。ああ、これは何を言っても無駄だな。そう思ったのも良くなかった。
会話の放棄に舵を取ったのを敏感に感じ取った相手が、深く、深く溜息を吐くのを黙って見ていた。地を這うような溜息の後、恋人は静かに「わかった」と呟いた。らしくもない落ち着いた声だった。
何がわかったんだよ、という言葉は、続いた台詞ですべて吹き飛んでしまった。
「しばらく距離置こう。」
今なら弁明できる、ほんの出来心だった。少し妬いてくれないかななんて思う、そんな可愛い我儘だったはずなのに。そんなつもりじゃなかった、なんて下手な言い訳は、口が裂けたって言えやしない。
2023.06.30 Fri 17:29
鳩の頭に、人間の体を無理やり縫い付けたような、ぞっとするほど違和感のある姿だった。小さな頭に、ガタイのいい大きな体がやけにアンバランスで。
嘴のような部分からはひっきりなしに液体が流れて、床を濡らす。据えたにおいがこちらまで漂ってくるようだった。
「なんなんだよ、あいつ…」
「わからん。でも、…たぶん人間だったやつだ」
ひゅっと息をんだのがわかった。
2023.06.28 Wed 16:15
*BL注意*
「わかりやすい宣戦布告しちゃってさ」
あいつのポケットから零れ落ちた真っ赤な口紅。表面に彫られているはずの刻印がないから、きっと使用済みのものだ。きったねぇ。
繰り出したそれを戻しながら、思う。
俺の彼氏は大変おモテになるので、今の段階じゃ犯人の特定は難しい。でもこんな性格の悪いことをするんだから、たぶん、あいつらの内の誰か。
「喧嘩別れでも狙ってたのかな。うける」
こんな口紅ひとつで揺れるほど自覚がないと思われているのか。思われているんだろうな。まあそんなことはどうだっていいのですが。いやほんとはよくない。でも気にしていると思われるのは癪だった。
閉めた蓋をもう一度開けて、じっと見つめてみる。こんな経緯じゃなければ好きな色なんだけどな。人を選ぶだろうけど、鮮やかで、はっと目を引くような赤だ。色白の肌に映えるだろうなと、そこまで考えてはっとした。
「…いいこと思いついた」
口紅を多めに繰り出して、先端を切り落とす。先っぽはゴミ箱行きだ。ばっちいから。切り落とした部分がまあるくなるように、手の甲に塗りながら整えた。やっぱ綺麗な色だな、と思う。
ちょっと性格悪いかな。悪いよな。でも先に喧嘩売ってきたのはむこうだし、いいよな?
手の甲に広がる赤色を小指にとって、唇をすうっとなぞった。
ちらりと鏡をみれば、たいそう楽しそうな顔をした自分が、唇をほうっと染めてこちらを見ている。
「…似合ってるじゃん。さいこう」
う、の形で唇をとどめていると、それだけでなんだか蠱惑的に思えてくる。これは、あいつも好きそう。
きっと一瞬呆けたように俺を見て、それからじわぁ、と滲むように頬を染めるだろう。この世でもっともうつくしいものを見たかのように、ほうっと息をついて、それから「きれいだね」と囁くのだろう。
そんなことを想像してしまった。
よし、と気合いをひとつ入れて。
「ライバル掃討作戦としますかぁ」
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