空と木

君は空でぼくは木

ぼくは小さいころから好きだった

君がくれる雨、太陽、雪、そして風

全部ぜんぶ好き

だからいつか君のいるそこへぼくも行って一緒に宇宙に行くんだ

ぼくは本当に君が大好きだった

ぼくだけに注いでくれる愛情がとても嬉しかった

ありがとうって叫んだ

君の返事は遠すぎて聞こえなかった

だけどどうしてだろう

追いかけても追いかけても

君はぼくから逃げて行ってしまう

ぼくのこの小さい手じゃ君をつかめない

君をつかみたいのに

こんな短い手じゃ君に届かない

どうしてぼくの手は届かないのだろう

どうしてぼくの手じゃつかめないのだろう

鳥達は楽しそうだ


ああ、ぼくもそっちへ行きたい

あの青くて真っ白な綿菓子に手が届いてほしい


ぼくはそう願った

それからぼくはもっと大きくなろうとした

誰よりも背が高くて立派になった

君と一緒に宇宙に行くためにがんばった

もうすぐだ

もうすぐで空に近づきそうだ

手を伸ばそうとしたとき

君は怒った

君の怒りがぼくに直撃する

ぼくはまっさかさまに落ちていった

なんで?


どうして?

ぼくじゃ駄目だった?

ぼくは君のためにがんばったんだよ

君と宇宙に行くためにがんばったんだよ

ぼくは憤りを感じた

地上に叩きつけられるとき

ふと思った

空は一度もぼくに対して笑ったことがなかったことを――

木はきっと嬉しかったんだと思う
けど空はそんな木に嫉妬してたんだと思う
素直にそうやって思えることを――



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