謎のK嬢X
2012.09.23 17:01
豪風妄想
夏休み、夕暮れ時、校門前
机の中に忘れてしまったリトマス試験紙を取りに豪炎寺あらわる(夏休みの自由研究で赤い紫陽花青い紫陽花が咲く土の一ヶ所一ヶ所をまわり検査するため、そして北関東一酸性、アルカリ性の高い土壌を特定し、棒グラフ化する)そんな使命を胸に教室の扉をあける
すると
教室の中側の席に見慣れた姿を発見する。
差し込むオレンジ色の夕日をいっぱいに受け、机に突っ伏し眠る人物。風丸一郎太だ。
どうやら彼も忘れ物を取りに来て、そしてそのまま眠ってしまったのだろう。陽のせいで橙やもとの水色へ、キラキラと変化する美しい髪の毛は、まるで昔、母に読んでもらった絵本の魔法の泉を連想させ、まぶしさと、どこか奇妙な感動を覚え、豪炎寺は目を細めた。そして起こさないようゆっくり彼のもとへ近づく。
ふ、と
風丸の口元、そこから机に目を落とすと、透明な円がオレンジの光をちらちらと反射しているのに気がついた。
よくよく見てみれば、熟睡した風丸の薄くあいた唇から、つうと垂れた涎が小さく丸を描き机を濡らしている。
豪炎寺は徐に、自分の机から例の紙をとりだし、その円へ先端を浸した。何故そんな事をしたのか。
思った時にはすでに体が動いていた。
すると、みるみるうちに試験紙は液体を吸い、その色を変化させる
豪炎寺はその反応を見て おどろいた
まるで夜空の星を砕いたような、美しく薄蒼に光輝くリトマス試験紙
夕日が傾き、濃紺へと教室の色彩が変化を遂げる中
それはいっそうキラリキラリと瞬くのであった。
風丸は妖精。まじ妖精。最近宇宙における絶対的な意識生命体の分身・使者じゃないかとも思ってる。
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