ハマイズ
※泉の体が幼児化します。苦手な方はご覧にならないようにお願いします。














――浜田良郎16歳、つい先程まで職務質問されてました。





『Lovely Baby』





結局最後までオレのコトを信用してくれなかったのか、制服を着た警察官は眉をしかめたまま去って行った。そいつが見えなくなると、ずっと笑うのを我慢していたのか泉は盛大に吹き出した。


「すっげぇ、浜田、誘拐犯だと思われたんじゃね?」
「あのねぇ、誰のせいだと思ってんのさ」


睨んでやったけれど泉は可愛い顔でカラカラと笑ったままで効果はナシ。まぁ、また誘拐犯だと勘違いされるのはゴメンだからと泉をそっと降ろした。


「ほら、手」
「えぇ、いらねーよ」
「人混みすげぇし、迷子になったら困るでしょー」


今の泉はちっちゃいんだから、と言うと、泉はぶぅっと頬を膨らませてオレの手を握った。


泉は不満げだ。だけどさ、こんな状況でもなきゃ男同士のオレらは人前で手も繋げないんだ。だからせっかくだから楽しむのもいいんじゃね?





* * * * *

昨日の朝、まだ眠っていたオレは激しくオレん家のドアを叩く音で起こされた。近所迷惑な来客に慌てて玄関のドアを開ければ、オレより遥かに慌てた様子の泉が立っていた。


小さくなってしまった泉が立っていた。


“小さく”――それをなんて説明すれば上手く伝わるのかわからないけれど、泉はどっかの名探偵みたいに、体は子供頭脳は大人、の状態だった。中身は15歳の泉なのに見てくれは4、5歳くらいなのだ。


最初はめちゃくちゃパニクった。近所迷惑なんて頭から吹っ飛んで叫んだ。だけど、そのうち落ち着いて(というか落ち着いて考えざるを得なくて)。結局昨日は家に引き篭もって様子を見ていた。だけれどいつまで経っても状況は変わらず、そして一晩が経ってしまい今に至る。





* * * * *

オレの手を握る泉の手は、当然だけれど普段よりちっちゃくて、温かくて、柔らかい。ついでに言っておくと、昨日触ったほっぺたもふにふにで、思わずほお擦りして殴られたくらいだ(これも当然だけれど威力はいつもより弱い)。


普段からでっかい目も顔がちっちゃくなったせいで更に大きく見えるし、短い手足でちょこちょこと動くしで、とにかくめちゃくちゃ可愛いのだ。


だからオレが泉を抱き抱えて歩いていたら、ガラの悪い男が女の子(!)を連れ回しているように見えたらしくて警察官に呼び止められるハメになったのだけれど。


「なぁなぁ、浜田ぁ」


いつもより開いた身長差。それを埋めようと一生懸命に見上げてくる姿にドキリとした。中身はいくら15歳の泉でも見てくれはガキんちょだ。ドキドキしちゃヤバいでしょ、と冷静を装って返事を返す。


「んー?」
「なんかさぁ、人前で手ぇ繋ぐの恥じぃけど」


“たまにはいいよな”


そう言って泉はニカッと笑った。幼いけれど、確かに15歳の泉の、オレが大好きな泉の顔で。


「…うわぁ」
「は?」
「今、泉のコトギュっとしたいわー」
「…寄るな誘拐犯」


お巡りさーん、と叫ぶふりをしながら泉がケタケタと笑う。


そんな泉をしゃがんで抱きしめながら、ちっちゃい泉もいいけれど、やっぱり15歳の泉に早く戻ればいいなぁ、なんてオレはぼんやり思ったのだった。





End





◎あとがき◎
フリリク第4弾です。リクエストが『泉がちっちゃくなっちゃう話。』でした。
本っ当にお待たせして申し訳ありません!!
そしてお待たせした割に泉がちっちゃい設定を活かせているのだろうかと不安が残ります…。ご不満でしたら書き直しますので言ってやって下さい!
そしてもしも気に入っていただけるのでしたらすごく嬉しいです!
それではリクエスト本当にありがとうございました!!







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