好きな授業は目が覚める。
でも、嫌いな授業は眠くなる。
自然な事だと俺は思うのだけれど。
でも、寝るとあとで牡丹の奴がうるさい。
何故アイツと同じクラスなのかと時々恨めしく思う。
双子は同じクラスにならないと俺は聞いたことあるのだけれども。
何はともあれ、数学の時間はとても眠い。
だから、まだ名前さえ覚えていない教師の声はシャットダウンして、眠りに就くのだ。
珍しく授業終了前に目が覚めた。
本当に珍しいな…、と自分でも思う。
黒板をみても内容はさっぱり。
ノートも真っ白。
溜息を吐いていると、ふと視線を感じる。
そちらを見遣ると、こちらを見ていたのは、凍矢だった。
アイツは理数系だから、あの教師の話を聞かなくても理解していることだろう。
それがちょっと悔しくて、苛ついたので、目線があったところで、
"こっちみるなばか"
と、声に出さないで口の形だけで伝える。
すると、アイツはきょとりとすれば、下の方で何かをし始める。恐らく携帯だろう。
数十秒後、制服のポケットの携帯が震える。
ぱか、と開くと、「新着メール」の文字。
もちろん、アイツから。
一体何のメールだ、と眉間に皺を寄せる。
長文とかだったら、あとで殴ってやろうか。
とりあえず、慣れない操作でそのメールを開いた。
『寝顔、可愛かったよ』
短文。すごく短く、要件をまとめてある。
普段から俺を可愛い可愛い言ってくる奴だが、ここまでとは。
ずっと見ていたのだろうか。
ちらりとアイツの方を見れば、またこちらに視線を戻したアイツと目が合った。
そして目が合えば、アイツはにっこりと笑んだ。
それを見たら何故か赤くなるのを感じて、慌てて顔を逸らした。
その笑顔、反則だから。
むかつくから、『死ね変態馬鹿』と返信してやった。
おわり。
(うおえあああ、すいませんだーりん!とうや君喋ってませんでしたァア!
さすがに授業はちゃんと聞いてますよねとうや君は!/アァ/お粗末様でした。/ちーん)
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