幸せはケーキの形。上
2008.06.11 Wed 00:00
「ケーキください!」
元気なうさぎさんとくまさんがやってきました。
ここは、キツネのケーキ屋さんです。
「いいですよ。なんのケーキになさるんです?」
キツネのコックさんは色々なケーキを見せてくれました。ショートケーキ、チョコレートケーキ、モンブランにショコラ、チーズケーキにミルフィーユ。見ているだけで、ため息が出てしまいます。
「キツネのコックさん、いっぱいあってまよっちゃうわ。何かおすすめはないの?」
うさぎさんはキツネのコックさんに訊ねました。
「そうですねぇ……。
そのケーキは何かのお祝いですか?」
「リスちゃんの誕生日が今日なんだ。だから、ぼくとうさぎちゃんで誕生日ケーキをプレゼントするんだっ」
「なるほど。そうでしたか。ちょっと待っていて下さい」
キツネのコックさんは厨房に入ってしまいました。
「キツネのコックさん、厨房に入ったわ。きっとケーキのプランを考えてるんだわ。
くまさん、どんなケーキをキツネのコックさんは考えると思う?」
「う〜ん……。僕、チョコレートケーキがいいな」
「なぁんだ。それって、くまさんの一番好きなケーキじゃない」
「じゃぁ、うさぎさんは?」
「多分、キャロットケーキだと思うのよ」
「うさぎさんも自分が一番好きなケーキじゃないか」
そう言って二人は笑い合っている間に、キツネのコックさんはケーキの箱を持ってきました。
「はい、これがリスちゃんの誕生日プレゼントですよ」
「わぁ、ありがとうございます」
二人はお礼を言って、ケーキ屋さんをあとにしました。
「お誕生日おめでとう!」
リスちゃんのお家では誕生日パーティーがひらかれています。
そして、ケーキを持ったうさぎさんとくまさんは今さっき着いたばかりです。
「はい、私とくまさんからのプレゼントよ」
「キツネのコックさんのケーキだよ」
「まぁ、キツネのコックさんのケーキ? 私、それを聞くたびに幸せな気分になるの。何故かは分からないけれど……。不思議よね」
リスちゃんはそっと、ケーキの箱をあけました。
「わぁ!」
そこには、リスちゃんの大好きな木の実がたくさん乗ったホールケーキがありました。
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