10【天文】
 2022.05.02 Mon 16:39

【天文】

春の雪

○キャラメルを口にのせたり春の雪
○キャラメルをのせる如くや春の雪
○春雪や抽出方を射す光り
○春雪や侯爵邸のシロップけり
○春雪や見つめる僕もけもの道

淡雪

○淡雪やまたながされて海の上

春の星

○春星や顔一面に大熊座
○いにしえの船やすくわん春の星

春の月

○手触りの淡き命や春の月

春の風

○自転車にパンの包みや春の風

流星

○流星や砕石場を水の上

夕立

○夕立に立て掛けたるや写真立

雪の果

○整然と並ぶマンガや雪の果
○クーポンの半額券や雪の果
○馴染みある飲物付きや雪の果
○鉄板にタバスコひねり雪の果
○もぎたてのルージュのごとき雪の別れ
○唇の温度にとけて雪の別れ

○近しきに愛とられてや雪の果

斑雪

○肉巻の何にしようかはだれ雪
○斑雪や湯に温めてカップ酒

春光

○春光や学芸員の昼休み
○無機質の壁にころがる春の光
○春光や彫刻のよく池の上
○春光や純白となり麺絡む
○春光や麺に絡みて脂の咲かせ

花の雨

○女子会に話とぎれて花の雨

春霖

○春霖や君眼差しのごとくなり
○春霖や持続可能な伊豆の海

春の月

○春月に外灯のみの港かな
○爛々と彼のことなり春の月
○春月の出石城下や皿五枚
○春月や出石城下を落としけり
○春月を肩にのせたり宝来寺
○まんまるの犬もでるなり春の月

春の雨

○縄文の櫓をぬらす春の雨
○関係も私らしいと春の雨
○春雨やご近所の傘うつくしき
○給与なの見合つてないの春の雨

春の月

○正直をうやむやにして春の月
○春月や商人となる心持
○春月や一眼レフの覗き穴
○副業を検討したり春の月
○転職に期待もしたり春の月
○未来なき話す自分に春の月
○昇給に不満のあるや春の月
○ため息は社内移動や春の月
○働きかた育児もあるし春の月
○結婚は断りて来てる春の月
○否定せず今の仕事や春の月
○満足をしてると迫る春の月
○独立の目線育児や春の月
○昇進や昇給もなく春の月
○通勤に社会の壁や春の月
○可能性今のところや春の月



○ビニールの凩遠くなりにけり
○凩や待ちゆく人もなかりけり

初日

○写仏する歌人のごとき初日かな
○御朱印の見開くごとき初日かな

初明り

○代えがたき暮らしを伸ばす初明り
○お守りを渡す如くに初明り
○広大な寺を任せて初明り
○古の森つみあげて初明り



○吉原に遊女隠さん雪の夜
○芸州の舟に雪華の遊女かな
○芸州の舟に雪つく遊女かな

春雷

▲○おもかげもがさつな君を春の雷
○整然と不思議の国や春の雷
○春雷やゴールの下の初舞台
○春雷や会はざらめやも玉の輿
○春雷や守り袋に縁結び
○雑音をボールにのせて春の雷


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