19【動物】
 2022.05.02 Mon 15:39

【生活】

進級

○進級に両手据えたり家臣団
○進級や黒甲冑のならびけり

新社員

○新社員峠の越えて隣町

落第

○伝来の具足櫃なり落第す
○鼻先に槍の穂つけて落第す

春障子

○ガス灯の小樽運河や春障子

春の炉

○春の炉や岬余市の蒸留所

春服

○春服やフルーツサンドのごとくなり
○心地よく胸ふくらんで春の服
○春服や留具もやさし御朱印帖
○春服やひとり遊びの鈴の音
○春服やフルーツサンドのミュージアム
○胸元のフルーツサンドや春装い
○春服やフルーツサンドの断面図
○膨らみやフルーツサンド春装い
○クリームの軽ろき膨らみ春の服

除雪車

○高原の一本道を排雪車
○ロータリー車新雪の空切りにけり

おでん

○色白のママの長箸おでん食ぶ

雪上車

○国道の上を行くなり雪上車
○雪上車菓子職人を育てたり
○通行は困難なれど雪上車
○雪上車うぶな気持ちを乗せてゆく
○人命の送受信して雪上車
○稜線の気持あすこや雪上車
○雪上車狐小路のふらり行く
○稜線のみえぬ深さや雪上車
○一泊の二食つきなり雪上車

雪囲

○雪垣や水に指輪の新しき
○よき酒にことば少なや雪囲
○裏木戸にパンツ合わせて雪囲
○さながらに国の仕立や雪囲
○軒下に大庇なり雪囲
○雪垣や水きれいなり厨口
○大店に道幅狭し雪囲
○真摯なる愛の姿や雪囲

春火鉢

○最果てに空白あるや春火鉢
○郷里へと募る思いや春火鉢
○最果ての羽も頭も春火鉢
○札幌の新聞をとく春火鉢
○貝塚に紋かざしけり春火鉢
○地層より地の豊かなり春火鉢
○土偶欠け月のはじめや春火鉢
○経済人次々駆けて春火鉢
○縄文の囲む集落春火鉢
○教会に一言のこし春火鉢

北窓開く

○開拓の電柱もなく北窓開く

目貼剥ぐ

○目貼剥ぐ中華まんぢう温かき
○町並みの遠くてすこし目貼剥ぐ

橇しまふ(そり)

○髭剃りて橇しまひけり理髪店

垣繕ふ

○給金の少なき朝や垣手入

春眠

○春眠や全編として方丈記
○春眠やひとり暮らしとなりにけり
○春眠や新学年のシーツの波
○春眠や背中語りて眩しけり
○春眠や言葉なんとや要らぬけり
○春眠やハムを挟むのごとくなり
○春眠やゴールドとなり免許証
○春眠や博覧会の来場者
○春眠やクリームパンのごとくなり
○春眠や創造的となりにけり
○春眠や一月かけてギリシア港
○春眠や十年経ちても三姉妹
○春眠やバカラ机のごとくなり
○春眠やカジノの夜のごとくなり
○春眠や夜の銀座となりにけり
○春眠や都内の女パンタロン
○春眠やバリアフリーのごとくなり
○春眠しなにやらゆかしお告げかな
○春眠やオイルショックも就職先
○春眠や積込を待つコンテナ船
○春眠に大吉なるや干支みくじ
○春眠や日本のなかに連なれり
○春眠や学生旅行の隣席
○春眠や大型二輪ならびけり
○春眠や慢性的になにかいる
○春眠や巫女の恋するごとくなり
○春眠や就航としてミラノピザ
○春眠や希望といふ名の先頭部
○春眠や謎解く恋の落とし穴
○春眠や入籍もせず肌ざわり
○春眠や葉巻のテーマ語られず
○春眠やけふもいつもの定食屋
○春眠やコーヒーまでもなつかしき
○春眠や所持金のいま二万円
○貯金額わづかながらも春の眠
○春眠や第二の人生都電のる
○春眠や合併したり島暮し
○春眠に不条理の世や生姜焼き
○春眠や角煮のごとく満たしけり
○春眠にフルーツパフェの都電かな
○春眠や増発されてパンタロン
○春眠や揚げ物ばかり青春期
○春眠や貸自転車の山仲間
○春眠や進水したり天主堂
○春眠の恋やレコード店巡り
○春眠や鳥居の上の金のまる
○春眠や猫駅長もねむりけり
○春眠や恋多きなり王子様

朝寝

○朝寝してひとの気持ちのわかりけり
○朝寝して猫のむかえる時となり
○この街のど真ん中なり朝寝かな
○朝寝して猫の模様やヤキモチ焼き
○都会より猫もらひたる朝寝かな
○出迎えの花に別れの朝寝かな
○朝寝してひとりぼっちの猫もらう
○人妻のゆびの間や朝寝せり
○出勤の温もりありて朝寝せり
○情けなき猫の顔みて朝寝せり
○想像に鼻先までも朝寝かな
○なつかしき渋谷の駅や朝寝せり
○人生に駄目を掛けたる朝寝かな
○朝寝して看板猫となりにけり
○吊革の広告文字に朝寝かな
○小四郎や鎌倉殿の朝寝かな
○焙煎の道づれにして朝寝かな
○サイフォンの位置其のままに朝寝かな
○表情を隠すくらいの朝寝かな
○身をつつむ都内の女性と朝寝かな
○ぐつすりと朝寝やけふもしつけない

石鹸玉

○下町の上をゆくなり石鹸玉
○しやぼん玉猫も居るなり胡麻豆腐
○しゃぼん玉右手つないで薬指
○石鹸玉地下に潜んで予想外
○石鹸玉ホテルの窓をのぞきこむ
○石鹸玉女優の乳のごとくなり
○石鹸玉こわれぬように工夫せり
○石鹸玉滑らかなるやジャズ喫茶
○石鹸玉ながれてゆくやミルクセーキ
○しやぼん玉高陽もせり六本木
○しやぼん玉ふたつ割れたり奥の方
○しやぼん玉一本道や風のみち
○可愛らし作家の飛ばす石鹸玉

風船

○風船や外麻雀に興じけり
○風船や勝どき橋を通りけり
○風船や親子の影を橋の上
○風船に犇めく影をみたりけり
○風船に焼酎かざす火口かな
○風船や鎮西の児のつかまえて
○風船や鎮西の友酒びたり
▲○風船やフィギュアスケート真剣に
○風船や大躍進を遂げにけり
○風船や若い母児の折れ曲がり

草餅

○草餅や閉店したりジャズ喫茶
○草餅や犬の綱引くケースごと
○草餅や猫三匹の丸くなり
○草餅や店に光の集めけり
○草餅や北に暖簾の四代目
○草餅や代々けむる餅つき機


[*前へ]  [#次へ]



戻る
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
あきゅろす。
リゼ