謙也と入れ替わる話2
 2011.09.25 Sun 10:53

俺の目の前には、ムレない、モレない、などのあまり聞いたことのない単語が書かれた薄っぺらいビニールの四面体が置かれていた。目の前の彼女は至極冷静にそれらの説明を始める。



「この昼用って書いてるのが、普段のやつね。で、これが夜用。学校から帰って来て寝る時はお風呂に入ってなくてもこっちにしてね。昼用じゃ後ろに漏れるから。あ、二日目、三日目は量が多いから、この多い日用を使ってね。夜も多い日の夜用を使って。じゃ、お願いします。」


淡々とした口調で説明を終えたアイツはエナメル鞄を持って立ち上がる。


「ちょっ、置いていかんといてぇっ!!こんな俺を放置せんといてぇっ!!」


俺はアイツの足にすがる。頭の整理が追いつかない。夜用だか昼用だか多い日だか知らないが、未知の世界への階段を尻すぼみして上れない。半泣きでアイツに懇願するような目をすると、アイツは何か思い出したようにあ、と声を上げた。


「忘れてた。ナプキンの付け方分からないよね。えーっとね。これをこうやってこうしてペタッとすればいいから。」


キョトン。


俺はただただ目を見開く。え、貼りつけんの?パンツに?そんなん無理やぁぁぁぁっ!!


「そんなにパンツを毎回見れへんわっ!?」


「そんなこといわれても……。ていうか、入れ替わってそこそこ経つし、毎日見てるでしょ。」


「見とらんっ!!見らんようにいっつもトイレに行ったら目を瞑っとるちゅーねんっ!!」


「えー、私はいつも見てるのにー。」


アイツがそう言った瞬間、俺は恥ずかしさで死にたくなった。


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