気持ち悪いありんこが可愛くみえたり、煩わしい強い日差しが爽やかに思えたり、畳の目が僕を歓迎してるような気がしたり。

「昨日となにも変わらない筈なのに、世界が変わって見える。恋と同じですね!」
「…元旦がか。」
「そうです。恋は唇を咬みきる癖がなくなったり不意に腕に爪をたてたくなる衝動に襲われなくなったり。土方さんは可愛いから癒やされるんですかね?」
「…。」
「僕の機嫌が良すぎて気持ち悪いとか思ってるでしょう?」
「すごい思ってる。」
「あぁ、土方さん。お雑煮が出来たみたいですよ。」
「そうだな。」
「それと今年もよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく。」
「ふふ。」
「ほら、立て。行くぞ。」
「ちゅーしてくれたら立ちます。」
「…。」
「あれ?どこいくんですか?」

土方は部屋を出て行ってしまった。
怒らせてしまったかと後悔したがすぐに戻ってきた。

「おら、ちゅーだ。」

その手に黒猫を持って。

「にゃー」
「わ、ちょ、ぶふっ」

土方はその様を見てけらけらと笑った。

「ざまぁみろ」
「やだ〜。今年初の接吻が猫となんて。」
「…。」

沖田が笑うと土方はむっと機嫌の悪そうな顔をした。
ぽい、と投げ出された猫は爪をかちかちと床で鳴らして逃げ出す。

「ほっぺが、ぷーって膨らんでる。」
「…。」
「やきもち妬くならやらなければいいのに。」
「うるさい。」

ぷい、と背けた顔。愛しくて仕方ないと感じていた。

「じゃ、来年は一番でお願いしますね。おもちみたいな土方さん。」
「気の早いこった。」










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