(gh)
一目惚れなんて、生易しいもんじゃない
目が放せなくなって
この手を離したくなくなって
銀に光る髪が愛しくて仕方ない
抱き締めて
いつもの言い合い
全く口の減らない野郎だ
だけど
痛い位に優しいから
だからきっと手放せないのだ
(欲を言うなら、このままずっと)
それを口にしたなら
本当にずっとここに居ると言い兼ねない
それが怖くて
俺は黙り込む
ここに居ることが幸せな筈が無い
お前はきっとうまくやるだろうから
適度に美人な奥さんと
適度に可愛い子供を
適度に甘やかして
そうやって幸せになるんだろう
想像せずには居られない
じゃあ、俺は?
「幸せにしてやるから」
屈託のない笑顔をお前は俺に向ける
期待するから、頼むから、
止めてくれよ
そういう事軽々しく言うなって
「俺、真剣だから」
この男は人の心でも読めるのだろうか
嗚呼
ほら
その真直ぐな目が痛い
痛くて堪らない
だから泣けて仕方ない
霞んだお前が、多分笑った