格の違い【サイコ2】ルヴィク
 2017.11.06
ギャグテイスト



「ハァハァ……美しいッ……是非!僕の作品にならないか君……!!」
「うひぇぇぇええッキモぉぉぉおおおおぉえぁぁあああ」
「どこからその声を出したんだお前は……」

スーツの男がいかにもお高そうなカメラを構え、ナイフを投げつけてくる。
ナイフと言うよりその変質的な笑顔に腰が砕けそうになりながら、必死に避けたところで私の体はルベンの腕に支えられた。
赤い、珠のような液体が集まり構築された彼の肉体は、精神世界とはいえ暖かい。

「何だお前は!
僕の作品に触れるんじゃない!!」
「ああぁぁきもいよぉぉぉ」

シャッターを押して時を止めようとする男。
ルベンは察したのか私を抱えたまま、わずかな距離を瞬時に移動する。

「お前は……なぜ僕が目を離した数分で変態に見つかるんだ?」
「ご、ごめ…」
「ええい黙れ!!
お前は僕の作品にベタベタとッ!
だいたいその見苦しい格好はなんだ!
いいかい、紳士というものは――」
「貴様が黙れ」

水をぶちまけたかのように、空気が冷える。
その目は……彼が確かに3年前、STEMという精神世界を歪め数多くの命を奪い去ったのだと思い出させるほどに昏い。
相対する男、ステファノ・ヴァレンティーニも何かを悟ったのか、じり、と後ずさる。

「これはとうに私のもの。
お前のような三下、指一本触れることすら許さない」
「ルベン…」

ビリビリと肌を焼く威圧感に、少しときめく。
かつてカステヤノス刑事に向けられていた殺意、悪意が全て目の前の隻眼の男に向けられていた。

「お前の下らない作品とやらにこれを巻き込むな。
次は殺/す」
「お前……何者なんだ?
なぜ僕と同じことが出来る!?
お前も精神世界に影響を与えられるのか」
「ヴァレンティーニ氏、死にたくなければ引いてください(キモいし)。
あなたもSTEMに関わる人間なら知らないはずがないですよね。
この人の名前は、ルヴィク。」
「っな、あの、」
「発想力も知能も、憎しみも
あなた程度じゃ勝てません
精神世界において何が力になるかくらい知っているでしょう?」
「もういい。」

ルベンが手をかざすと、衝撃波が地面や車、風景を打ち崩していく。
飛び散るコンクリート片にヴァレンティーニが怯んだ一瞬で、既に彼を見下ろすガレージの上に移動していた。

「……怪我は」
「ほんと、口数が少ないんだから……
大丈夫。ありがとう。」




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