壁しか見えぬ小路で
死の際に立つ体
覚束ない足元も
震え止まぬ腕も
渇き知らぬ眼も
耳鳴り巣くう耳も
ひっきりなしに暴れ狂う声も
まだ届かない

叫びは喉元にて散り
涙は汚れて真っ暗色に
文字にならぬ痛みと
声にも出ぬ恨みと
さても冷えゆく熱は
出口を見つけられぬまま
体内で泥と化す

突きつけた指先に
呪いをかけられた
ゴールなき迷路で
歩き疲れて叫んで
それでも それでも
差し延べられることはないでしょう
うずくまり膝抱えるの
呪いを解く呪文など探さないの
ここで絶えたかった
絶望を望んだ
なのに
あの手は差し延べるのではなく
背を押すためにあったの
苦しみながらさ迷い続ける甘い夢から
一突きで放り出されるだろう
あなたの腕で





090911


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