愛のうたが行き交う町には
居場所がなくて
ただ静かな世界で独り
息絶えたかった
耳鳴りがやんでもまだ
あなたの言葉だけやまない
たったの一言に込められた
慈しみと疎みが突き刺さって
再会にはとても足りなくて
忘却には到底有りすぎて
この体に絡みつくあなたの全て
まだ思い出にはならない
明け方の空になびく
あの黒い雨雲は
あなたの上にも立ち込めるだろうか
それなら風に乗せたこの声も
あなたの耳に届くだろう
いつ終わるともしれぬ全ての生命が
それぞれ悔やまぬよう生きんと
正しい種を蒔く
芽を待ち 花を待ち
何時か届くであろうと
ただ生を全うする
九月十一日に目を覆った全ての生き物に零を
090911