物語の終わりが見えてしまったのに
まだ何も終わらせられないでいる
プロローグのままの瞳で
まだこの先を望んでしまう
あの日晴れていた空も
もう雲に覆われたのに
あの日咲いていた曼珠沙華も
もう朽ちてしまったのに
エピローグを演じるには
まだ支度が足りていない
留まることで何かが変わるという期待が
恐らく見当違いであることは
既にここに刻まれていて
それでも覆したいと願うのは
終わりを恐れる弱さ故
脚本通りの筋書きならば
きっと両の手が救われる
今は恐るべき結末も
終幕の瞬間にはハッピーエンド
それでもまだ手繰れないのは
長い物語に浸りすぎたから
090925