霧立ち込める樹海に
真っ赤な果実がぽつねんと
待ち侘びて くたびれて
まだ唇を知りません
いつかかじられる日を待って
樹海は色を亡くした
もう黒だけで充分ですと
泣き叫んだあとの暗闇は
真っ赤な腕だけ震えたり
白目で果実を睨んだり
逃げ出しても元通り
息切らして走っても
結局 此処
ならば苦しみに身を投げて
息絶えるのも一興
がんじがらめの冷たい鎖
用意したのは君です
巻き付けたのは私です
でも解き方を知りません
教えてください 誰か
鉄の鎖をちぎる知恵を
私に与えてください
影がない日は遊びましょう
ゆらり ふらり
流されていい
影が立つ日は隠れましょう
地下室に 物置に
息を殺せよ
影が泣いたら愛を知り
影が笑えば残酷人形
どちらも私を赤く染めます
手首はまだ綺麗なまま
090902