沼に落ちた
背中合わせ
両足はすっかり泥の中
もがけばもがくほど
沈み 痛み
ただあなたの温もりだけが
息をする力だった

今 あなたに差し延べられる
天使の手
知らない手
優しくあなたの腕を引く
待って
置いていかないで
独りにしないで
「もうここから出なくちゃ」
そんな台詞いらない
温度が欲しい
まだ脱け出せないよ

沼は温くて まとわりついて
身を任せば 楽でしょう
諦めてしまえば 優しかった
寄り添うだけで 命が延びた
ほらもう 幻は消えてしまう
あなたは その片足地につけ
遠退く背に 羽根が触れたら
天使とキスをする
さよなら 重い思い出
沈みゆく身体を解き放ち
絶望の沼に涙を溶かそうか





090915


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