喉を通るものもなく
キチガイじみた脈が鳴る
帰りの電車を探していました
私はそれを見つけました
悲しくて 悲しくて
電車が嫌いになりました
脳細胞は減りつづけ
手足にゃ痕が増えてゆく
心を亡くせばよいのだと
手帳を黒く埋めました
虚しくて 虚しくて
忙しいことはよいことです
日々をまっとうに営むことは
未来を疑わないこと
一歩先すら脆い橋を
渡る体は張り詰めて
叶う夢と叶わぬ悪夢を
交互に呼び覚まして
短い髪は絶望に染まりました
不必要です 排除します
あなたにはこのレールを
君にはこちらの一本道を
それ以外は不必要です
分かれ道は排除します
排除します
排除します
排除します
排除します
目の前に残った一本のレール
爪先から遥か遠くへ延びた道
嫌いな電車になってしまった
冷血な無機物に成り果てた私
いっそ、飛び込みましょうか
090902