鍾+陸
 2013.05.13 Mon 16:13

鍾と陸でドラマト/リ/ッ/クパロ。
売れない奇術師陸遜と准教授鍾会
「…」
「私の透視能力、信じて頂けましたか?」

やったのは極々簡単な透視マジックだった。
しかし、目の前の鍾会とかいう男には、まさしく超能力に見えたらしい、未だに息を飲んだ顔で陸遜の描いた3つの星のマークを見つめている。鍾会が描いたマークを当てる、という、まさしく手品らしい手品だ。

『私の前で超能力や霊能力などの超常現象があると証明出来た者に賞金を出す』

新聞に入っていた、男性アイドルのピンナップのような一枚の広告の煽り文句を信じてこの奇妙な准教授の元を訪れた。

薄給で弟二人を養う売れない奇術師の陸遜には、これにすがりつかない手はなかった。

「…ふん。まずは合格だな」

若き天才、という肩書きからそううまくはいかないだろう、と予測していたのだが…陸遜のイカサマは、どうやらバレていないらしい。まさかこんなにうまくいくとは。
しかし…『まずは』?

鍾会の言葉に引っかかりを覚え、疑問を口にしようとしたその時、

「これを見ろ」

やたら偉そうな口調で何かを突き出してくる。

「これ?ああ、今話題の宗教団体の教主が出した本ですよね」

この国は各地からの移民が多いせいか基本的に無宗教的な国ではあるが、同時に複数の宗教が古くからあり、また他から入ってくる宗教や新しく興った宗教にも寛大であった。その本は『イエローイエロー』という団体の教主の女が1ヶ月ほど前に出した本だ。

何やらその団体の本山にある『伝説の菜の花畑』の菜の花油を使えば、どんな病気もたちどころに治り、悩みも消え、幸せが舞い込むのだとか。


…うっさん臭ぇ。

「これが何か…」
「貴様にこの女と対決してもらう」

やたらと尊大な口調に思わず「はぁ…対決、ですか」と曖昧に独り言ち、

「…は!?」

ひっくり返った声が出た。

「お前がこの女に勝ったその時に、報酬を支払う。さあ、行くぞ!」
「え、ど、どこへ」
「敵の本陣にだ!早くせねば、私の…私の命が…」
「ちょっ、引っ張らないで下さいよ、全く意味が分からないんですが」

鍾会の力は思いのほか強く、引かれるままにされる陸遜。




その厄介な男と出会ったが故に、様々な、奇妙な犯罪者と対峙し、さらには己の出自の謎と向き合うことになろうとは、陸遜は思いもしなかった。

++++
山田役は正直誰でも良かった(笑)


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