時間差で2人投下
2010.07.21 Wed
・最初に来たのは、現代でも今時珍しい純粋培養な感じの大人しめな子(以降○)
・三日くらい置いて来たのは今時珍しくもない自分大好きな逆ハー体質の子(以降■)
・■は持ち前の自分勝手さを初っぱなから発揮し、事務員でありながら殆どの仕事を○に押しつける。自分はキャッキャッうふふ。と忍たまと仲良しこよし
・沢山のものを貢いでもらっては、これを売ったら幾らになるかとか考えてる
・○は押しつけられて「え、でも、これ……」とか言うけど剣呑な目で見られると何も言えなくなって大人しく押しつけられたものを片付ける
・皆、派手で目立つ■ばかりに目が行っちゃって○なんて視野にすら入らない状態
・恋バナやお洒落でくのたまとも仲良しこよし
・そんな○をいつも気遣ってくれるのは小松田さん。同い年と言う事もあって「小松田君」と「○ちゃん」と呼び合う親しげな仲
・ある日、押しつけられた全学年の忍たま達の制服の山を抱えていて、落とし穴の目印が見えず落下
・背中から落ちてしばらく起き上がれなかったが、早く洗濯しなきゃという使命感から立ち上がる
・小さくはないが決して大きくもない身長でぴょこぴょこ跳ね脱出を試みるも惨敗
・どうしよう。途方に暮れる○を監視という名目で見張っていた土井先生は助けたいが……今ここで出て行くわけにはいかない。と葛藤
・見かねた別の場所から監視していた山田先生が出て行った時、偶然にも手が届き、必死に上ろうとしている○に吃驚
・慌てて隠れて、土井先生と一緒に声に出さず応援。ようやく脱出出来た時には思わず涙が出た
・先に外に投げていた洗濯物を掴むと慌てて洗濯場へと駆けていく。「早くしなきゃ夕暮れまでに乾かなくなっちゃうッ」また涙が出た
・良い子すぎる! こんな子が刺客な訳がないッ!
・対して■は相変わらずキャッキャッうふふ。と逆ハーっぷりを発揮
・水仕事? 肌が荒れるじゃない、嫌よ
・薪割り? しなやかな腕に筋肉が付くじゃない、嫌よ
・お料理? どうして私が使用人みたいな事しなきゃならないのよ、嫌よ
・私は皆に愛されるために存在してるの。愛されるのが仕事よと公言。だから天女と呼ばれても否定せず、「そうよ。だから私を愛しなさい」とか言っちゃってる
・一人っ子だからと甘々で育てられた弊害
・監視についていた木下先生と厚着先生は眉間に皺を寄せ険しい表情
・こんな子に生徒の学費から給料を払っているのか……
・始まった楽しい楽しい夏休み
・小松田さんに誘われ○は小松田屋さんに手伝いとして行く。本当はお泊まりのはずだったが、忙しそうな様子を見て「なにか手伝わせてください」と優作さんに願い出る
・小松田さんが失敗しそうになったり、失敗したりするとそれとなくカバーする○に優作はじめ、小松田屋で働く従業員には好印象。是非一緒に働いてもらいたい
・気立てもよくて料理も上手。まさしく室町における大和撫子の象徴。控えめな性格も功を奏した
・年上なのもあるが、とても頼りがいのある優作さんに○自身も好印象。もし万が一にでも結婚出来るのならばこんな方と……と淡い想いを抱くもアタシは世界が違うから
・心の奥底に鍵をかけてしまい込み、仕事に勤しむ
・一方■は
・学園に残り鍛錬に励む上級生達とぼうっと眺めるつまらない日々を過ごす
・料理は食堂のおばちゃんがするけど手伝わない
・洗濯は自分でしなさいよ。忍者になりたいなら、それくらいそつなくこなせなくてどうするの。と回避
・結果なにもしない
・でもあまりにも暇すぎて一人で町に
・アルバイト中のきり丸に会って、それを手伝う土井先生と一緒にお茶をする
・そこで髪結処斉藤の場所を聞いて会いに行く
・道すがらで小松田屋で楽しそうに働く○を目撃
・楽しそうに笑い、誰からも好かれている様子に嫉妬。愛されるのは私だけなのにッ! なんであんな地味な女なのよ!
・予定を変更し学園に戻ると、姿が見えないと探していた上級生に遭遇
・口々に心配したと言われ、やっぱり中心は私よね。あんな女がいるのは間違っているわ。と決意
・夏休みが開けると同時に始まった■による執拗な○苛め
・直接は手を出さず、彼女に傾倒する忍たまとお姉様と懐いてくるくのたまを使った陰湿なもの
・日々増えていく包帯と擦り傷
「どうしたのそれ! 大丈夫なの?!」「大丈夫よ小松田君。ちょっと落とし穴を踏み抜いてしまったの」
・はぐらされているが、なんとなく大丈夫でないのは気付いてる
・でも自分にはどうにかする事は出来ない。だって忍術三級だから。どうしよう! どうしよう! と困っていたら落とし穴に落っこちた拍子に閃いた!
・○は仕事が終わると部屋に引きこもるようになった。朝と昼は手伝いがあるから、そのまま食事を摂るが、夕食は摂らずの毎日
・蝋燭をつけず、暗い部屋で仄暗い目をした○は毎日毎日鏡に向かって「大丈夫、まだ大丈夫」と繰り返し唱える
「大丈夫、アタシは大丈夫。ほらまだ笑えてる。だから大丈夫。まだやれる。折角出来た居場所なんだから文句言っちゃ駄目よ○。お母さんはアタシをいらないって言ったけど、小松田君も食堂のおばちゃんも先生方も学園長先生も居ていいって言って下さったもの。恩を返さなきゃ駄目。礼節を弁えなきゃ駄目。居場所は守らなきゃ駄目。我慢我慢我慢我慢。我慢すればいいの。アタシが全部を我慢すれば上手くいくの。文句を言っちゃ駄目、我儘を言っちゃ駄目」
・ぶつぶつ。ぶつぶつ。小さな声だが、天井裏に潜んでいた先生方にはしっかり聞こえてる
・なんて良い子だ……ッ。涙が溢れてきた
・同時に○の危うさを危惧した
・近頃の学園の様子と生徒の危険な目を注視してきたが、これ以上は○の精神が持たないかもしれない。否、それよりも先に生徒が○に手を出しかねない
・何故あんなにも良い子なのに生徒達は気付けないのかと悲しくなると同時に、憤りを感じていた。教師である前に忍者である前に、彼等も人間なのだ。怒りも悲しみも人並みに感じる事は出来る。ただ表に出さないだけで
・いざと言う時は金楽寺で働かせるという名目での避難もやむを得ないか、と学園長
・その次の日。最悪の事態に発展した
・○の背中に刺さるクナイ。血まみれで倒れているのを発見したのは吉野先生
・急いで職員室にいた授業のない先生を呼び保健室に運び込む
・出血量が多くて非常に危険な状態
・誰がいったい○を狙ったのか
・使われたのは用具委員会の管理しているものだが、授業ですべて借り出されていて特定出来ず
・先生方の張り詰めた空気で、学園内もピリピリとした空気で包まれた
・その一週間後、○の目が覚め小松田さんに泣きつかれた。困ったように青白い顔で笑いながら頭を撫でる
・まさにそんな時、学園長の庵に一人の来客が来ていた
・小松田優作だ。弟から○との関係を後押しする手紙が毎日のように届き、ついに決意した
「○を娶ろうと思うのです」
・迷う素振りを見せるが、彼女にとっても女性としてもそちらの方が幸せなんじゃなかろうかと決めていた。とはいえ彼女の意向を無視する事は出来ない
・という訳で保健室にやって来た。気を利かせ二人きりにする
・不思議そうに優作さんを見ていると手を握られ「結婚してください!」とプロポーズ
・吃驚して言葉も出ない○だが、自分も間違いなく好意を持っていた。ただ世界が違うというのがネックになり答えが出せない
・意を決し事情を話すも、優作さんの想いは変わらず、うっすら頬を染め上げ「はい……」と答える
・こういうのは早いほうが良いだろうと、次の日には学園を出て小松田屋へ。
・その際に、○は学園長に身元も知らない自分を置いてくれたお礼と感謝を述べ、もらいはしたが使わずに取って置いた給料全額を返却する
「これは生徒の学費です。居候のアタシがもらっては良い物ではありません。どうぞ学園のためにお使いください」
・居合わせた全教職員が涙
・良い子すぎるッ! 是非幸せになってくれ! とエール
・元々、人気のあった小松田屋。その若旦那の元に気立ての良い女将が来たと町でも評判に。優しい微笑みと懇切丁寧な接客に顧客も倍増
・優作さんとも幸せに暮らす。「○ちゃん」「旦那さま」
・名前呼びは恥ずかしい、とこう呼び合う仲睦まじい若夫婦。若女将とおない年の弟も幸せそうに微笑んでいる
・■は、先生方の怒りを買っていたが最後まで気付く事なく我儘放題の毎日を過ごす
・一人の男を愛するよりも、沢山の男に愛される方が幸せに決まってるわ。莫迦な女。と○を見下していた
・しかしやがて時空越(トリップ)特典の逆ハー効果も薄れ、忍たま・くのたまが離れて行く
・なんで?! どうして?! と苛々しながら町を歩いている所に魅力的なお誘い
・絵にも描けないイケメンが■をくどく。何度も逢瀬を繰り返し、体を重ねた関係になった時、言われた
「自分達の子供が生まれた時にはあそこに入学をさせよう」
・遠回しのプロポーズ。殆どの忍たまに見放されていた■には魔力の篭もった言葉だった
・言われるがままに、子供のためにどんな場所か知りたいと言われ見取り図を渡し、どんな勉強をするのだ言われ武器庫の中にある武器を名前と数を教える
・勿論、学園側がそれを見逃すはずもなく……。
結局人生なんて頑張った人には相応の褒美が神様からもらえるものだよ。というお話
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