がんがんがん。腹が痛い。腰が痛い。頬も痛い。身体中が痛い。 奴が此処に帰ってくる度に、奴に必ず殴られる。蹴られる。こんな薄暗いし光も無いこの部屋で行われるのはバイオレンスな暴行。 畜生。俺は玩具じゃないんだぞ。 部屋に広がるは生臭い鉄の臭い。真っ赤に広がる冷たい床を染めるのは自分自身の赤黒い血。 ああ、目の前が赤い。 「ほら……起きろよ」 「かはッ、く……テメ、ェ……! ンな事、しやがっ、て」 「……アンタが俺に逆らう権利はないぜ、イヴェル」 「ローラ、ン……サン……」 散々俺を殴っておいて、腫れ上がった俺の顔を覗き込んでくる目の前の憎いコイビト。 俺をこんな薄汚ねぇ部屋に一人監禁しやがって。とんだ悪趣味なヘタレ野郎だ、後で覚えとけ。 けれど、そんなコイビトは、コレが愛情表現なんだとほざきやがる。コレじゃあ只の暴行じゃねぇか。こんな事が楽しいのか? 病んでいる、野郎。 俺は、テメェから逃げるなんてする訳がないのに。 「イヴェル……俺を見て」 「かッ……は……何だ、よ」 「俺はね、アンタを離したくないんだよ。俺の下で舌突き出して喘いでる淫乱な俺のペットになるまでアンタを閉じ込めているんだ」 「そ……れ、がッ……どうした」 「……アンタさ、今まで本当に俺を愛してた?」 ハッ。気持ち悪い事をほざく。 愛してるだなんて毎晩毎晩喉が枯れるまで喘いでやったのに、コイツはまだ足りないらしい。 そんなに愛してるが信じないのかよ。何度も聞いてるクセに。 何度も何度も、聞き厭きるまで問い掛けられる“愛してる” なんて、あれ程―― 俺は、もう疲れちまったよ。 「……アンタが俺から離れたら、沢山痛め付けて殺してやるよ」 「は……殺して、みや、がれ」 「ああ、アンタが死んだら俺も死ぬから」 (そう云うのか。なら、今すぐ殺してみろよ) end. |