「ねぇイヴェル、起きてよ」

 ぺしぺしと頬に当たる小さな手、身体に跨る小さな身体と軽い重みは、盗賊を職業とした男の意識を夢から呼び起こした。高いテノールをした子供の声は上から聞こえ、その子供と似たような容姿をしたイヴェルと呼ばれたその男はゆっくり目を開く。そして、目の前に跨る人物に驚異の表情を浮かべた。

「ッ、何だお前!!」

 ちょこんと男の身体を跨いでいる小さい身体、綺麗な銀糸がふわりとした天然の銀髪に、朝と夜を表すガラス玉の様な赤と蒼のぱっちりしたオッドアイの瞳に頬に描かれた太陽の風車と月の揺り籠の紋章、それは紛れもなく冬天秤のイヴェールだった。
 自分の生まれ変わる以前の姿であり、あの華奢で普通の美人モデルより美しい身体が今では四、五歳の幼児ぐらいでは無いか。
 イヴェルは朝起きて身体の小さくなった冬天秤に驚きを隠せなかった。

「あはは! イヴェルの変な顔〜」

 ぽかんと口を開いて冬天秤を見つめるイヴェルに冬天秤はけらけらと笑いだした。
 イヴェルは其処でハッと我に返る。

「だっ、誰が変だ! つか大体お前何で小さくなってるんだ!?」
「ん――何でかな。朝起きたらこうなってたんだ」
「何だと!?」

 まさか。そんな事があるわけない。
 イヴェルは、はあぁと呆れた溜め息を漏らし冬天秤とお揃いの銀髪をがしがしと面倒そうに掻いた。
 目の前の小さい冬天秤。その姿は何と大人用ブラウス一枚のみで、下は何も履いていない状況であり、つまり下着も着ていない。

 ちょっと待て、これはヤバイだろう!!

 イヴェルは、己の中の理性を壊さない為にも何とか持ち堪えた。そう、目の前の冬天秤の姿を一言に纏めれば――


“エロい”


「早く服を着ろ馬鹿ッ!! 風邪を引くだろうが! 前世の俺がこんな姿してりゃあ恥ずかしい!」
「え〜〜そんなに怒鳴らないでよ」

 内心の危ない妄想を抑えつつも怒鳴るイヴェルに対し冬天秤は文句云いながらも跨ぐのを止めてベッドから降りた。
 よし。理性は何とか一命を取り留めた。等と安堵の一息を吐くイヴェルだったが、それは一瞬の事で。

「イヴェル〜〜」
「今度は何だ、早く服着ろ」
「……勃ってるよ?」


 ゴフッ


 何気ない冬天秤の一言にイヴェルは思わず吹き出してしまった。冬天秤の視線はイヴェルの……股間に向けられており、見計らった冬天秤はにやりと悪戯げな笑みを浮かべると、青ざめるイヴェルなどを余所に彼の身体に跨った。

「っ、お……おいっテメェ!」
「ふふ、勃ってるから僕が舐めてあげるね」
「ちょ、マジかよ……!」
「我慢しなくていいんだよ? ……こんな僕の姿見て我慢出来ないはサヴァンだって同じだもん、遠慮しなくていいよ」
「いやいやいや、止めてくれマジお願いだから止めてくれってあのクソ変態な賢者に殺されるから止めろって俺の盗賊人生に傷が入るからマジでお願いしますってだからちょっ(ry)」
「やだ……舐めるもん!」

「誰かコイツを止めろぉぉォォォォーー!!!!」



 そのあと、イヴェルと冬天秤が居る部屋から卑俗な音と喘ぎ声が聞こえたのは言うまでもない。











おまけ

「えへ……イヴェルのおっきかったぁ……vV」
「テメェ……そんな姿であんなに……(ぐったり)」
「中身は変わんないもん。それに僕、貴方とヤるの嫌いじゃないよ?」
「何云ってんだテメェ、いい加減元の姿に戻れ……」
「ん〜〜元の姿と云っても戻り方分からないよ。でも、もいっかい貴方とシたいっ!」
「ストップ!! 冗談じゃないっ……賢者が来たらどうすんだ!」
「いいもん。サヴァンはサヴァンだから」
「ちょ……ズボン脱がすなぁぁあァァァァ!!!!」




早く終われ。





あきゅろす。