※洗脳/尿道責め/淫語
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美味しい餌での晩餐会
闇黒に広がるこの世界には見覚えがある。其れはもう以前、同じ様な出来事を身を持って実感したのだ。幾ら僕でも、あんな思いは、忘れる訳が、ない。まさか。また、僕はあの悪夢を見る事に――
「な、何で……何で……!?」
以前起きたデシャヴの様な出来事を記憶に引きずり、この闇黒の世界では思い当たる節があった。まさかまたあの出来事が起こるのではないか、と怖くて恐ろしくて、僕はただ身体をおかしく震わせてその場に竦み、自分自身の衝動を抑えようと身体を抱き締める。
どうか、どうか“僕”が来ませんように。と何度も願った。
あの悪夢は、あの恐怖は、あの快楽だけは――と。今は何も無いだけ安堵するが、この闇黒の世界に僕一人が存在すると云う事は、あの“僕”が存在する可能性がある。そう、きっと、きっとそうだ。何の根拠があって此処に存在するのか明確に説明出来ないけれど、此処はあの“僕”の世界。誰にも見付からず内密に創りだされた無の闇黒の世界だ。
それは唐突にやってきた。あれから普通に平和な日々を、サヴァンやヴィオレットとオルタンスなどに囲まれ笑いながら過ごしていたのに、今回ばかりは夜一人で寝てから気が付いた時には此処に居た。
そうだ。逃げなければ。あの“僕”から捕まらない事には逃げれば良いじゃないか。でもどうやって? ひたすら走るしかない。
「っ――――!」
有無云わず僕はその場から走りだした。とにかく急いで、あの“僕”に捕まらない様。この先に路は続いているのか、途絶えているのか解りもしないのは当たり前だが、何だか走らないといけないような気がした。
“僕”が来ないなら、それでいいと。
「はあっ、はぁ! ひっ、は……はあ、はあっ……!」
足元には感覚が無い。案外、足元が地面なのか空間なのか分からない為に、僕がどうやって走っているのかなど分からなかった。意外と感覚が無いまま走るのが辛いだなんて、考えもしなかったからか。あまり運動などしていない所為で直ぐに疲れてしまった。思わずその場に立ち止まり、取り敢えず息を整える。駄目だ、最初からこの様子では、間違いなく……考える事すら恐ろしく思える。
ふと、後ろを振り向く。幸い“僕”は居らず、ただ視界の端という端に染まる闇しか映らない。何もない周りの様子に、少しだけ安堵し息を吐いた。
だが――止まったのがいけなかったのか、不意に背筋に寒気が走った。
「ふふふ……」
無意識に身体が竦み、声が出ない。
まさか。
「ねぇ――もう、僕との鬼ゴッコはお終いなの? もっと遊ぼうよ……」
「……ッ!?」
「ふふっ……」
――信じられ、無い。
何で、もう、僕の真後ろに。
「つ か ま え た ぁ……」
耳元で囁く“僕”の暗い声に、見えない恐怖で捕えられる様な背筋に走る寒気で固まる自分の身体。“僕”は僕の動かない身体をその冷たい手で密かに這いずり、そのまま僕が抱き付かれる体制になると強い力で顔を上げさせられる。視界が反対になったかと思うと耳元の直ぐ側に“僕”の顔があった。恐怖に震える僕に彼は不適な笑みを浮かべ、脳内が戦慄した。
声が出ない。
「あ、あぁ……あ……?」
「あれぇ……何でそんな表情するの……? そんなに僕が怖い?」
「や、止め……て……やだ、さ、触ら、ないで……!」
「何で? 僕は僕で君は僕。僕は君。触るくらい、良いでしょう?」
「だ、駄目だよ……ッ、や、あ……ダメ……!」
そう云って戦慄する僕などお構い無しに、敢えて抵抗出来ないのを知ってか知らずか、彼は吐き気を催す様な卑俗な笑みで勝手に触りだす。最初は太股から腰にかけて縁を愛おしそうに撫で上げ、胸元へ顎へ頬へとその手は這いずり回る。ただ彼から感じられるのは服越しからも伝わってくる冷却と不快感だった。普通に考えると気持ち悪いと云う事しか思えられないだろう。ましてや同じ顔をした陰の自分に身体を触れられるのだ。
ああ、気持ち、悪い。
「…………!?」
「何……もう気付いた?」
何時も違和感に気付き、僕は息詰まった。余裕無い状態の僕を見据えながら、ノワールはにこり、と何も窺わせない微笑みを浮かべる。そしてノワールが僕の顔面前で手を持ってきてから、指を軽く折り曲げて見せた。
――すると、僕自身の意志と反して勝手に僕の手が動く。ただ、身体は不思議な力で固まったまま、まるでノワールが僕自身を支配しているかの様に操られているのだ。どんなに自力で身体を動かそうとしても全く無意味で叶う筈もなく、脳内でノワールが持つ闇がじわじわと侵食して行くのが分かった。
そんな事がまさかと目を疑ったのも束の間、ノワールの手自体が僕の下半身へと伸び、その行動を追いかけるが如く僕の手も下半身の衣類の中へと差し込まれた。無意識に、また勝手に身体を動かされて、所謂、これは――洗脳と云うやつだろうか。確かにノワールの実体はあくまでも僕の身体であり、僕が生み出した感情の天秤。感じるものは全てノワールも感じとると云うのだが、この場合僕がノワールに乗っ取られたからには、ノワールが思考する行動は僕の身体自身に神経を通して、ノワールが僕の身体を動かす主導権を握られる。こんなの冗談じゃない、と嫌味がさして今にでも吐きそうな嘔吐感に顔を顰めた。望んでいない筈のこれから予測される行為は普通ではない卑猥な事だと理解したのは紛れもなく目に見えていたから。
だが、この世界はノワールが創りあげた二人だけの世界で、どんなに助けを乞うても、神でさえ気付かないのだから無意味に終わるのだ。
止めて。あの時みたいに淫乱になるのだけは嫌なんだ。
――お願い。
「い、嫌……嫌だ、嫌、嫌ァッ!!」
「ふふ、折角の二人きりなんだから、沢山楽しもう……? 僕、あの時の君の顔……もっと見てみたいなァ……」
例え嫌がったとしても、今の僕はノワールに身体を支配されているから口は云えても身体が動かない。都合悪い僕の身体を機に、ノワールの手が股を沿ってそのまま遠慮無く布越しに自身を押し上げた。
「――ひッ!!」
丁度良くも無いが、僕の片方の手も衣類の中で萎えた自身を掴み、同時に圧迫される感覚を知らされ、背筋に走る寒気に身体が震えた。
*
「いあ、あッ!!」
「あは! 凄いねイヴェール、もうぐちゃぐちゃだよ! 自分で自分のおちんちん弄って感じてるなんてね!」
「」