「じまんぐ、ティッシュ」 「あー其処にあるよ」 先程まで声を上げていたRevoちゃんは、行為が終わったあと何時も気が変わった様に静かになる。 「やー、Revoちゃんってさ」 「何?」 「さっきまであんなに喘いでたのに今は普通だよね。何と云うか冷めた様な……」 元々、Revoちゃんはクールだから別に変な意味は無いのだけど、行為が終わったといえ折角二人だけの時間なんだから、甘えられたいなぁと思う。仕事仲間を通り越して恋人同士になったのだから、それ程可笑しい事は無いと云うのに。 「そんなことない。じまんぐとヤってる時……じまんぐ暖かったし」 「Revoちゃんの胎内(なか)も暖かったけど?」 「……馬鹿」 そんなRevoちゃんは、白いタオルケット一枚に裸のまま俺にティッシュを寄越せと要求してきた。腹を汚した白濁を拭き取りたいのか、ちら、と視線をRevoちゃんに向けると少し感覚が気持ち悪そうに眉間に皺がよっている。ああ、成る程、と思った。 懊脳無く俺はベッドの直ぐ側にある小さい棚の上に乗せられた、鼻セレブと動物が描かれた白いティッシュ箱に指を差した。Revoちゃんは迷いもなく瞬時にティッシュを二三枚取ると、腹に手を伸ばす。俺は何気ない行動に微か笑みを零した。 「…………くさい」 「当たり前でしょ、ヤった後なんだから」 「何で精液ってくさいんだ。女性のはあんまり匂わないって聞いたけど」 「俺に聞かれてもねぇ……男は大抵そうだよ、Revoちゃんも俺も」 「……んー……」 腹に付いた精液をティッシュで拭きながら、Revoちゃんは小さく声を漏らす。 思えばこの部屋は寒い。窓もカーテンは開けておらず光は遮断され、かと云って外は対して晴れてもいないし、普通に云えば曇って居るので寒いのは当たり前だけど。此処のところは秋雨前線があるから秋の風が寒い。困ったものだ。 その時、 「じま、っふぇ……――――くしゅッ!」 「……え?」 ずるずると新しいティッシュを慌てて何枚も取り出して鼻を噛むRevoちゃん。 ……俺の名前よんだよね。 「大丈夫?」 「だい、丈夫じゃな……ふしゅッ! ふぇっ……くしゅ!」 「すごいね、くしゃみ……」 「すごいとか云わ……っふえぇっくしゅ!!」 寒そうに身体を震わせ、更に身体を覆う様にタオルケットに包まるRevoちゃん。その様子からして、明らかに風邪を引いてしまったらしい。 そんなRevoちゃんにさえ、何故かこっちは逆に暖かいものを感じた気がする。 よし、代わりに俺が身体で温めてあげようかなんて。 「ほらほらRevoちゃん、服着なきゃ」 ……なんて云ったら怒られるかな。 end. 風邪ひいたRevoちゃんの話。 |