何時間も同じ様に快楽を与えられ続け、イヴェールの幼稚な思考では考える事など許されなかった。

「あぅッ……は、っん、ぁう……」

 何処からも無く響く警鐘音などに耳を傾けるなど愚考に過ぎず、この身体は快楽に染めていくクリストフの暖かい手を好きに受け入れていく。カタカタと震える振動と反して喉奥から甘い声が盛れ、口元から垂れた涎だけが、その身体で感じている快楽を伝えていた。
 その身体を我が物と玩具のように弄ぶ男は、自分に素直に従う哀れな奴隷を可笑しそうに笑うと、肉付いた平らな胸板に指を弾かせた。

「ほう、此処だけで勃たせるとはね……可哀想に、恐怖に素直過ぎて抵抗と云うものを知らないのかね?」
「ふあ……ご主人様ッ……やっ……! お、むねっ……弄っちゃやあ……!」

 ぷっくりと硬度を持ち出した乳首を指で手際よく捏ねられ、与えられる快楽に対し、まるで精神的に赤子の様に変わってしまったイヴェールは涙を流し、どうすれば良いのか解らなかった。嫌々と首を振り、か弱い抵抗を見せるがクリストフには関連する事は無駄なもので。だが、抵抗している割にイヴェールは歓喜に満ちた色で声を上げていた。

「イケない仔だ……又はお仕置きされたくて業となのかも知れんな」
「ひぎぁ!? ふぁ、ひ……あ゙ああぁあッ!!」

 口元を吊り上げクリストフはさも既に理解していたかの様に喉で嘲笑うと、今までの快楽に萎えつつある陰茎を無遠慮に掴んだ。先端に触れただけで、それに応じ、イヴェールは用意されていた絶頂が集中してくるのを、目を見開き成す術もなく悲鳴しながら達してしまった。
 勢い良く射精した所為か、呆気なく腹を汚す。達した些細な解放感に不規則な呼吸を繰り返している。そんなイヴェールなど尻目に、クリストフは唇を舌なめずりしては、射精したばかりに痙攣している陰茎を扱き出すと伝う蜜を見、舐めとっては吸い付いた。

「あ! んあぁっあ、あッ! ク、リスっ……んあ゙ッッ!!」

 今の地点で最早ぴゅ、ぴゅっ、と飛ぶ精液に空イキ状態で達してしまうイヴェールなど気にも止めず、クリストフはその陰茎の裏筋を舐め上げ、尿道に残った精液を舌先で抉り取る様にして巧みに扱い吸い上げる。その動きに反応して「あぐっ」と小さく悲鳴を漏らすイヴェールの身体は、ガクガクと痙攣している様に震えた。

「うっあ……は……あふっ……嫌、嫌ぁ……」
「ほう、口では嫌味を見せているのに、何故ここは震えるんだい? 身体は随分と素直だ……」
「んはァッ!! あっ、ぐ……あ……ぞ、く、ぞくしちゃ……うぅ……!」

 今も尚、既に萎えている筈なのに快楽のもどかしさに、不意に揺れる腰は更なる快楽を求める。言葉と矛盾するイヴェールの淫猥な身体に、クリストフは晒けだされた肉孔に一瞥した。
 冷たい空気にひくつく肉孔からは胎内に収まっているローターの細いコードが伸びている。クリストフの長く骨張った指が肉孔に触れた途端、何されるか分からない恐怖感に突然イヴェールが跳ね上がると、クリストフは二本の指先を無遠慮に胎内にあるローターなど無視して突っ込んだ。

「あがっ、あ! か、はっ、ひ、あ゙……が、ぅう……」
「苦しいかい? だがこれはお仕置きに過ぎないのだよ……我慢しなさい」

 イヴェールの苦痛な喘ぎ声で刺激的の苦しさを訴えてもクリストフには届かず、ましてかクリストフは指の動きを早める。淫らな水音が鳴るその度に、イヴェールはクリストフの体温を求める形に震える手で相手の身体に伸ばす。だが、首輪を伴って繋ぐ鎖がイヴェールを引き止め、首を絞められる苦しさにとうとう泣き出してしまった。
 引きつる様な嗚咽を漏らし、涙を流そうとしても今までに何度もクリストフへの恐怖に流しきった為、簡単には流れない。

「サヴァ……ンっ……サヴァン……助け、て、助けっ……て……!」

 何度も呼んでも、何度も叫んでも、存在する筈のない名前。
 泣いても、ただ目の前には不適に自分を嘲笑う現実。

「ふん、君もしつこいものだね……」
「サヴァ、ン……助けっ……僕、をっ……寂し、い……っ」

 イヴェールが何時までも呼び続けるクリストフと対等する優しい存在の名前に、クリストフは珍しく眉を潜めた。
 今までイヴェールの存在自体を我が物にする為に作られたもう一つの人格。ただ、その人格がイヴェールの心情を深めていた事は、クリストフにとって不愉快に思えた。

「…………ちっ――」




 タダ、彼ハ戻ラヌ愛シキ存在ヲ求メル。
 鎖ニ繋ガレタル冬ノ天秤ハ、誰カガ救イニキテクレルノヲ、
 寂レタ檻ノ中デ、何時マデモ待ッテ居ル――

 ソレ迄ハ、壊レタマリオネットノママデ何度モ…………。




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あきゅろす。