僕と彼には秘密がある。

 誰にも云えない秘密がある。

 僕と彼は同じ存在だから、誰にも知られてはならない秘密がある。

 それはどんな秘密と聞かれても絶対に話さない。

 何故なら話さないと決めたから。

 約束は絶対に破ってはならない。

 破ったらお互いにお仕置き。そんな歪なルールを持った秘密。
 そんな秘密な行為は、事或るごとに毎晩行なわれる。
 この屋敷に住む者が、全て寝静まり返った時のみに行なわれるのだ。
 そう。今でも、だ。

「あ……んぁっ、ァ……くっ! ん、あぁ……!」
「ひぅッ……! びくびくして、るぅっ……ね、僕の、はぁッ……びくびく、してる……でしょう……?」
「あっ、あ、あッ! ァは……ひンッ! びくびく、して、るぅ……気持ち、ィよぉ……僕、ふッあ、ああァ!!」
「はうッ! ひゃっ、そんな激しくっ、扱、いちゃ、らめェ……ふァあん!!」

 石畳の薄暗い地下室に上がる悲鳴にも似た嬌声。毎晩毎晩行なわれていた所為か、その嬌声達は、最早死ぬ程の快楽に浸かるようになってしまった。
 その地下室に居たのは、同じ顔をした双子の冬の天秤。いや一人は銀髪――朝、一人は黒髪――夜と云った所か。
 二人はお互いにお互いの精液に濡れた自身を扱き合い、先端と先端をくっ付けて弄りあっている。
 お互いの顔は最高の快楽に火照はて瞳が虚ろになり、だがぐちゅぐちゅと繰り返し繰り返しお互いの自身を慰め合い、弄りあい、喘ぎ合う。そう、これはつまり二人の“秘密”。
 誰にも見付かってはならない秘密の行為。似た者同士、かと云って光と闇の存在と云える二人の特別な――“秘密”。

「ひゃ、ッあ……! イく、イっちゃうっ、僕もうイっちゃうのぉッ、あっ、あぁあッ!!」
「イ、イくっ! イくっ、僕ッもっ……うあ、あッ! やあぁあっ!!」

 激しい行為に及んだ秘密。
 二人はお互いの顔を見つめ合いながら、勢いの止まらない速さで自身を扱き合い、地下室の窓から漏れる月の光が消え掛けようとした刻――悲鳴にも似た嬌声を上げて同時に果てた。

「くっ、ふふ……ねぇ、僕の“Hiver”……?」
「ん……なぁに、僕の“Hiver”……?」
「僕達、ずっと……ずぅっと、一緒、だよ……?」
「うん……ずっと、ずぅっと……僕達は一緒……」
「ねぇ……朝の“Hiver”は僕の事……好き?」
「うん……夜の“Hiver”は僕の事……愛してる?」
「うん……すっごく愛してる」
「僕も……すっごく大好き」





 二人の秘密は、終焉と云う言葉を知らない。




end.





急に思いついた突発文。




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