※Ark風パロ&捏造。
陛下&宰相発狂注意報。
※子供時代(?)設定
※亀更新な連載モノ。
おk?
“じまんぐ。僕のじまんぐ……”
“陛下、俺は……陛下から離れない”
“僕も、じまんぐから……離れたくないよ”
“陛下、俺……離れたら自殺するから”
“大丈夫。僕も、じまんぐから離れるなら、じまんぐの後を逝うよ”
“陛下……陛下は、俺のものだよ……”
“じまんぐも……僕から、離れないで……”
――身分違いの約束。本当は許されない約束だけれども、何時も傍に居たから、離れる事は無いと信じていた。
ずっと、ずっとずっと俺は陛下を守ると誓った。陛下も、ずっと自分のものだと云ってくれたから、離れずにすむと安心していた。
あんな事件が起こる前に、約束したこの誓いは、絶対に破りたくない。裏切ったり、しないから。
俺達がまだ子供であっても、陛下とずっと一緒に居られるなら、俺は死んでも陛下が好きだから。
――ねぇ、陛下は俺のものだよね?
歪む信仰、傷付いた心
物心が付いたとき、何よりも平和だった筈であるのに、一瞬、俺と陛下の身に何が起こっていたのか解らなかった。
「止めろッ!! 陛下に何をする気だ! 陛下を離せ、離せ!! 陛下を離せえぇッ――!!」
「嫌だ……嫌だ! じ、じまんぐぅ!! 助け、助けてくれっじまんぐ! い、嫌だああああぁぁッ!!」
「煩わしい餓鬼共だな……」
「構わん、陛下であろうとも立場など関係無い。我らの実験の為だ、無理矢理にでも連れていけ」
「はっ。おい×××! この餓鬼の足を捕らえろ!」
……一体、俺達が何をしたと云うのだろうか。
ただ分かるのが、口に広がる鉄の味と、身体を無理矢理押さえ付けられる激痛、何かを必死に叫ぶ自分の声。そして目の前に広がるのは、黒い服を身体中に纏った謎の集団達が、問答無用で俺の名前を泣き叫ぶ陛下が何処かに連れられていく光景。
黒ずくめの奴らが、聞き取れない声で何か云っているが、俺と陛下はそれどころでは無く、俺の中で“陛下を助けなくては”と警告鐘(サイレン)が鳴り響いていた。
何だ、何が起こってるんだ。陛下をどうする気なんだ? 何故、俺達が奴らに取り押さえられなければならないんだ?
陛下は――陛下はこの国で一番偉いのに、何故あんな奴らに捕まっているんだ?
俺が変な黒い奴らに取り押さえられている中、陛下は奴らに囲まれて何かされている。何かと云うのは、俺が見ている限り、陛下は太い注射器の針を腕に刺されていた。陛下は恐怖に怯えているのか、嫌がっているのか狂った様に叫んだ。
「おいっ、静かにさせろ!」
「嫌だああああぁぁぁ!! じまんぐっ、じまんぐと離れたくない……! 嫌だ! 嫌だ嫌だッ!! ゔあ゙あ゙ああぁぁぁっ!!」
「ぐっ……陛下、陛下! 離せ……俺の陛下を離せ――!!」
何をしても無駄だった。
自分の力は、身分だけが頼りであったのか、大人達になんてこんな幼い力じゃ無理らしい。
ああ、俺の陛下と離れてしまう。
俺の陛下が、陛下じゃ無くなってしまう……。
あの時ずっと一緒に居ようと誓ったのに、こんな事で約束を破る事になろうとは。
「ノア様、この子供達は如何致しましょう」
「空いている番号はこれで2046と2036のみです」
「ふん……幾らルキアが私を止めようとも……クロニカが封じられている以上無駄だからねェ……まぁ良い。何れにせよ逆らう事を恐れる事はない。さっさと向こうへ連れていけ」
「御意」
「この子供達が……書の魔獣にどんな歴史を与えてくれるのか、実に見物モノだね……」
書の魔獣? 子供達? それは俺と陛下の事なのか? ああ――そんな事よりも陛下が、陛下が何処かへ連れられてしまう。今は既に、陛下の首に黒い首輪が付けられ、足首には重く頑丈な足枷の鎖に繋がれてしまった。黒ずくめの男が一人、陛下の身体を担ぎ上げると……そのまま立ち去ろうとしている――
早く、早く止めなければ。
陛下を、奴らのものにさせない為に。早く、早く。
「……ッ、離せ! 陛下……陛下を連れていくな!!」
早く、早く。陛下を――
「陛下……陛下!!」
奴らの、実験台なんかにさせない為に――
「Revo陛下っ……陛下を連れていくなあああぁぁぁぁ!!」
陛 下 ハ 俺 ノ ダ カ ラ 。
「被験体2046――Revo及び“Rex”……被験体2036――Jimang及び“Cancellarius”と云う所でしょうか」
「ほう……そういえば“妹”と“兄”もそうだったねェ。あの二人はどうなったんだね?」
「さぁ……監視卿(ウォッチャー)が監視しているので、彼に聞けば解るかと。しかし彼によれば、もう少しだそうです」
「……成る程。さて、そろそろ時間だ。被験体2036――君には後で、良いものを見せてあげよう……時間になったら知らせる」
「御意致しました」
“――助けて、じまんぐ”
連れていかれた愛しい人。
「あ……ああぁ……陛下……陛下……!!」
一緒に居ようと約束した大切な人。
離れたくない。離れたく、離れたくない、離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない――――
間 違 っ て る 。
こ ん な 事 、夢 な ん だ 。
“じまんぐ……助けて、僕かラ、離レナイ、デ――――”
「うわあ゙あ゙あ゙ああああああぁぁぁぁ――――!!」
どんなに叫んでも、必死に叫んでも、陛下は解放してもらえなかった。それに陛下は、仕舞いには黒ずくめの奴らに目隠しをされ、口も塞がれ何も出来ない状態で連れていかれてしまった。
俺はただ、そんな哀れな陛下が連れていかれるのを見ているしかなくて、陛下の事で悔しくて悔しくて、嗚咽を漏らしているしかなかった。
守ると誓った約束。陛下だけは離れたくないと誓ったのに、一体誰がこんな事を命じたのだろう――
周りの奴ら? 国民? お母様? お父様?
それとも――
こ う な る 運 命 だ っ た の か ?
『抜け出してやる……! こんな最悪な場所、絶対に陛下を助け出して抜け出してやる!!』
身体を他の奴らに押さえられ、身動き出来ぬまま自分自身を呪ったが、この誓いだけは、確信を持って誓う事が出来た。
だが、この集団達を動かしている奴は、そんな俺を見てほくそ笑みながらこう告げた。
“残 念 だ っ た ね ぇ……”と――――
*
――気が付くと、俺は狭い空間に閉じ込められていた。
此処の床は冷たくて、真っ暗で、例えるとしたら檻の中と云うべきだろうか。――いや、結局此処は“檻の中”に間違いなかった。
ぼんやりと視界が暗い中で見えてきた光。それが、別の部屋から漏れている明かりで、その明かりこの部屋を照らしているので、鉄格子が見えたからだ。出口も何も無い此処は、どんな手段を使ってても、死ぬまで出られない仕掛けなんだろう。
ふと足を動かす。しかし、自分の四肢はどうやら枷を取り付けられているらしく、動かしても鎖が動きを拒んでしまう。成る程、其処までして脱走させないのか。
――そうだ、陛下はどうなったのだろう。
あの黒ずくめの奴らに連れていかれてから、俺はどうやら眠らされていたらしく、殆ど記憶が無い。いや、思い出したくても思い出せなかった。
結局、自分は陛下を守ると、口だけの約束をしていただけなのか。そうなると、悔しさと哀れさ、悲しみで涙が止まらず、ただただ嘆き苦しんだ。締め付けられる苦しさで、息が出来ない程に、俺は陛下を愛していたのだ。
ギィ、と錆びた音を立てて部屋の扉が開かれる。明かりの眩しさに一瞬目を痛めてしまったが、先程押さえ付けられた時に比べればマシな方だ。だが今はそんな場合では無い。誰がこの部屋に入ってきたのかなんて、自分の憎しみが直感で判ったからである。
「気分はどうだい……“cancellarius”?」
「……最悪だね」
問い掛けられた言葉に、素っ気なく呟いた。
その声の主は、紛れもなく先程の黒ずくめの集団達を動かしていたであろう男だった。ぼそぼそと小さくて聞こえなかったが、確か集団達は男を“ノア”と呼んでいた。多分、この男が“ノア”なのだと思うが――
男の背後には、やはり幾人か黒ずくめの集団が居た。多分このノアと云う奴の部下達なんだろうが、一体何をしに来たのだろう。
「……何が目的なんだ?」
「被験体2046の事かね? ……彼と君を捕えたのは他でも無く、我ら実験の為……そう、実験台になってもらうことだ」
「実験? 何故陛下を実験台にするんだ! 陛下であろうことか、俺にすれば良かったのに!」
ぎり、と歯を食い縛り、このノアと云う男を見上げる。奴は何の反応もせず、ただ黙したまま口元に笑みを浮かべた。挑発的な笑みが、自分の苛立ちを露にさせられる。
「書の魔獣……そう、我らには書の魔獣を召喚させる実験台が必要だった」
「実験、台……? それは俺と陛下に何の関係がある! 他の人間を使えばいいのに……!」
「そんなに苛立たなくて良い。君は知らなかっただろうが……あの小さい王は凄まじい力を持っているのだよ……素晴らしい、力をね……」
「……陛下に力だと……?」
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