別に、腹がへっていた訳でもない。 「サヴァン」 何の変わりも無く、今日は何時もと同じで不幸でも幸福でも無く平和だったのだ。 だが、たまに普通すぎて、いつの間にか全てが狂ってある時もあるものだ。 何時ものように、愛おしいイヴェールの為にやってきては、人生を知らないイヴェールの為に持ってきた物語を聞かせてあげる。 そしてイヴェールの大好きな紅茶を用意する。 さぁ、お楽しみのお茶会だイヴェール。あの可愛い双子を呼んで、楽しもう。 イヴェールの大好きな物を用意してあげよう。 ミシェルも特別に誘ってあげよう。 ローランサンも誘って、金髪のローランを誘って、赤髪のローランを誘おうか。 はたまた、クロエとタッシュも誘ってエトワールもロレーヌとネイジュも、ロランとモニカもオーギュストとナタリーも、イヴェールの為にきっと来てくれるだろう。 イヴェールの云う事を拒む者は居ない。 全てはイヴェール、君だけの為に動いているのさ。 全員イヴェールに会いたがっているのだから、会ってはどうだい? ああそうだ。まずは紅茶を用意するのだったねェ。 「イヴェール、君は何の紅茶が良いかい?」 まず最初に、私は彼の恋を奪った。 「イヴェール、彼らにはどんな物語が聞きたいだろうねぇ?」 そして私は彼の柱を奪った。 「イヴェール、君は何のお菓子が食べたいかい?」 そして私は彼の腕を奪った。 「イヴェール、君はどんなお菓子が好きなんだい?」 そして私は彼を奪った。 とても美味しそうなお菓子だったから、つい君のお菓子を食べてしまったんだ。 ……怒らないのかい? 君は実に優しい子だね。 あの可愛い双子もさぞかしイヴェールにとても感謝してるだろうね。 ほら、イヴェールも其処に居ないで君のお菓子を食べたらどうだい? とろとろなモノやこりこりしたモノ、固いモノもあるが殆どが柔らかいお菓子だからねぇ。 ミシェルもローランサンも、金髪のローランも赤髪のローランも、はたまたクロエとタッシュもエトワールもロレーヌとネイジュも、ロランとモニカもオーギュストとナタリーも、皆、君のお菓子で喜んでくれるさ。 紅茶は君のアップルティーだから、皆美味しそうに飲むだろう。 ああ、もうすぐお茶会が始まるね。 これから彼らを招待させようか。 イヴェールの大好きな、楽しい楽しいお茶会を始めよう。 皆でイヴェールを食べようか。 「イヴェール。そんな哀しい顔して、美味しそうなのに何を絶望しているんだい?」 end. 意味有りげに書きたかっただけ。 |