※犯罪学×冬/媚薬/風呂/淫語
それは、ちょっとした好奇心からだった。
「……ん?」
白いバスタブに張り詰められた湯から煙が個室に広がり、服を脱ぎ捨ててシャワーを浴びようとすると、バスタブの近くの壁に掛けられた棚に、小さなボトルが一つぽつんと置かれていた。前はこんなもの無かった筈なのに。ならば此処にあると云う事はもしかすると、あり得ると考えてみればミシェルかサヴァン辺りが置いたのだろうか。そのボトルの表面には、小さな葉っぱの絵が愛らしく描かれている。中身は少し茶色っぽい様で透明な色をした液体で、軽く揺らしてみればちゃぷちゃぷと小さな波が立った。
「……良い匂いがする」
キュ、と高い音を漏らしてボトルの栓を開けた途端、中身からほろ甘くも気分を和ませる様な、そんな香りが鼻を擽った。自分の些細な知識では、直ぐにその香りからしてこのボトルは入浴剤なんだ、と理解したのは他でも無い。ましてか丁度風呂に入る前だったからか、好奇心による使いたさに、思わずボトルの中身をバスタブへと全部注いでしまった。
「どっちのかは分からないけれど、後で借りは返しておくから」
じわじわとバスタブのお湯が、この液体の色に染まっていくのを目に、そっとバスタブへ自分の身体を沈めていく。ほろ甘い香りを鼻に、心を躍らせつつも暫くはその香りを堪能する事にした。
*
――しかし、異変は十五分ぐらい経った頃に起きた。
「っは……な、何だ……こ、れ……っ!」
甘い香りがする液体を入れたバスタブに、入り浸かっていた所為か、息が詰まる様に息上がっている感じがする。だがこれくらいでそれ程逆上せる事はない筈なのに、身体の内側から沸き上がる様な熱を感じ、頭もぼんやりとしていた。それに何よりも、凄く腰の奥が痒いくらいに疼いては、今にも胎内を強く掻き混ぜられたい衝動に駆られてしまう。何故だか自分自身も我慢出来なさそうに張り詰めていた。
熱い。身体の内側から熱くて今にも誰かに縋りつきたい欲望が溢れ、涙で頬を濡らしてまでもバスタブを頼りに縋りつく。個室には誰も居ないから、無駄に身体を求める事が出来なくて――
(な、何で……何で治まらないの? 熱、い……熱い……!)
苦しい程に上がる息を繰り返し、バスタブに入り浸かったままで何故か身体に力が入らない。おかげで出る事が出来ず、熱が高ぶるが冷めるのをそのまま待つしか成すすべも無く。とにかく熱い。この熱を何とかして欲しい。頭がぼーっとして意識を失いそうな程、目が虚ろになりかけている。それよりも早く誰か、誰かこの熱を――胎内(ナカ)を激しく掻き混ぜて欲しい…………。
(ぅくっ……だ、駄目……!)
思考よりも、理性が
。