朝、
 2009.07.30 Thu 17:02
いつも通りの朝、

私はいつも通りに学校へ行く準備をしていた。

顔を洗って、ご飯を食べて、トイレに行って、着替えて、化粧して。

いつも通りの、何も変わらない日常。


ただ、この時から小さな違和感を感じていた。






外へ出ると猛烈な暑さが襲ってくる。

暑さに弱いのは体質だからか、ただ単に普段の生活習慣に問題があるのか。

とにかく私は暑さに弱かった。


(やっと…着いた。)


駅のホームまでの階段。

地下鉄だったら、わざわざ上る必要もないのに…。

上りきって若干ふらつきながら、自分の降りる駅の階段が最も近いところで並ぶ。

学生は夏休みだが、社会人はまだ仕事。

微妙なこの時間では、中々私の乗りたい始発電車がない。


(………げ、何でだろ。)


少し、覚えのある腹痛に顔をしかめる。

中学や高校時代、私は朝はお腹が弱くてよく途中の駅で降りてトイレに寄りに行っていた。

高校で大分回数も減り、大学に入ってからはめっきりなくなったのに…。

すぐに消えた腹痛に、まぁこのくらいなら平気かな、と思う。(酷い時は地元の駅までを歩いてる最中で痛くなり、駅につくまで死にそうだった。)

最初に症状が出た時点で、大抵はその日の重さがわかる。


今日はきっと平気だろう。


座れないため少し不安だが、その時の私はとても楽観的な考えをしていた。





……………甘かった。



池袋の駅につく直前、急激な腹痛とめまいに襲われた。

腹痛だけならまだしも、めまいの方は相当やばい。

顔から血の気が一気に引いていくのがわかった。サーなんて可愛いもんじゃない、ザーだザー。

そんなザーと引いた血の気に、降りるつもりは毛頭ない駅だったのにその時の私には全く余裕はなかった。


立っているのも辛い。


そして必死に階段のところまで来て、私はまたガックリ肩を落とした。


私の乗る電車は、私の地元を境に地下鉄になる。

つまり私はまた階段を上らなくてはならなかったのだ。


(ちょ、ま……やばい、何だこれ。)


普段なら階段くらい上れるし、視界だって若干霞むも周りが見えないほどではなかった。

だが今は階段を上りきるだけで倒れそうになるし、視界はまるで映りの悪いテレビのようにチカチカする。おまけに時々暗転する。

そんな状態でまともに歩けるはずもなく、ふらふらと壁により座り込み、トイレを探してはまた座り込む。

私は池袋のトイレの場所なんか把握してなかったし、この視界の悪さではとても周りの状況を見渡せる余裕もない。

ますます激しくなる腹痛に、思考も働かない。

途中大丈夫かと声をかけてくれたサラリーマン風の若いお兄さんもいたが、それに答える余裕もなく適当に大丈夫と答えた。

だってトイレどこにありますかなんて聞きにくいじゃないか、何となく。


その後少しして、今度は駅員がやってきた。



「大丈夫?具合悪い?」

「……大丈夫です…トイレってどこにありますか?」

「トイレならすぐそこだよ。」


駅員ならすぐ答えてくれるだろうという予想を見事に裏切らなかった駅員に感謝感激。

だが、そこ、と指した先は先程私が素通りしたところ。


……あれって通路じゃなかったの。


やたら綺麗な外装に、最近出来た新しい線を思い出す。

…確かに改札を抜けてからじゃなきゃ通れない…か?

私の昔の記憶にあったトイレとのあまりの違いに半信半疑になりながらゆっくり向かう。

しかしまた途中で座り込んでしまった。

真っ直ぐに歩けない。

視界が暗くなる。


「…駄目そう?少し休んでく?」

「や、とりあえずトイレに…。」

「じゃあそこまで頑張れ。」


苦笑ぎみに休むことを勧めてくれる駅員に断りを入れつつ、やっと着いたトイレにようやく、一安心した…。


トイレから出て鏡を見る私の顔は、怖いほど色がなかった。











――――…

と、いう朝の出来事。
やー、多分元の貧血に加えて睡眠不足に熱中症まで入ったもんだから色々悲惨だったんだと思います。
学校行ってからもひたすら顔色悪い!と友達に心配されました。
普通頬とか口には多少なりとも色があるはずなのに私はすぐに消えちゃうんですよねー。

とりあえずここまで酷いのは初めてだ、てことを言いたかったわけです、はい。

人のこと言える身ではありませんが、皆さんも熱中症にはお気をつけください。





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