愛してるのは
2024.07.24 Wed 00:14
身体が床に溶け込む熱帯夜
僕は君と一つになれたかもしれないーーーーー
いつものように部屋に帰ると、君は薄くなった呼吸で僕を迎え入れてくれる。
ただいま。
君の顔を覗き込むと眉を八の字に寄せて浅く熱の籠った呼吸を繰り返す。
ムワッと僕のまつ毛にかかる息が嬉しくて腹の奥がゾクゾクと疼く。
額から流れる汗がこの部屋の暑さを物語る。
よくがんばったね。
声も出ない君を抱き寄せてよく冷えた僕の身体で君の均衡を取り戻してあげようか。
気持ちがいい。僕が君で、君が僕へと流れ込んでいくこの熱伝播は何にも変え難い心地よさ。
君は何も言わないけど僕は知ってるよ。君が1番求めるのは僕じゃなくて、僕が1番欲しいのは君しかいない。
ダメだよ、諦めたらダメだからね。君は僕を徹底的に嫌悪してくれないと、その上で僕に身体を預けるしかできない君が愛おしいんだから。
愛してるよ。
安っぽい言葉も君には毒だけれど、君はこんな言葉に屈するような情けない子じゃない。そうだろう?ああ僕の愛おしい。
飼い殺しのハニー
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