2024.06.05 Wed 14:22
薄汚れたカーテンからせせら笑うように午後2時の光が真っ直ぐと伸びている。
僕はどこにも行けないのに。グレーに沈んだこの部屋にただ一つ引かれた黄金色。
どこまでも穏やかに続く時間は個体を捉えずただ優しく息吹の循環を見守っている。
重い体を曳き擦りながら窓辺まで移動すると、無色透明の屑星がキラキラと僕を包み込んだ。

どこへ行ったんだろう。お母さん。

戸を開けた瞬間、饐えた臭いが侵入を拒むように纏わり憑く。玄関には私とあの子。靴が互い違いに倒れていた。歩を進めると知らぬ内に靴下の裏がじっとりと濡れている。薄暗いワンルームに散らかった衣類、低いテーブル、クレヨン塗れの請求書。部屋中のものがジンワリと湿っているかベトついているか。真っ黒なハエが幾つも飛び回っていて耳の横を嫌な音が掠めていく。

ゆう君がいっぱいになっちゃった。


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