「…本当に私がこれを?着るんですか?」
どこから仕入れたのかは知らないが、仁王がうれしそうに差し出してきたのは黒を基調にしたいわゆるメイド服とよばらる代物だった。
着替えの間は外で待っていろと仁王を追い出したはいいものの、手に取った洋服に思わず一人ごちる。
袖や膝丈のスカートの裾にはふんだんに白いレースがあしらわれており、とても男の着るものではない。唯一の救いは露出の少ない事か。
「……」
しかし一度着ると言った手前覚悟を決めるしかなく、柳生はネクタイを緩めワイシャツのボタンを外し始めた。
一一着替えを終え部屋に仁王を招き入れると、彼はうつむいてだんまりを決め込んだ。
…もしかしなくても、あまりのひどさに落胆して言葉も出ないのだろうか…
不安を感じ出した柳生がおそるおそる仁王の名を呼べば、伸びた腕によって胸にきつく抱きしめられる。
「ちょっ、と…っ!」
「やぎゅ、かわいい!かわいいぜよーっ!!」
髪に頬ずりされ、柳生は赤くなった顔を隠そうと仁王を引き剥がせうと腕に力を込める。
しかし、
「や…っ!!」
「下着も俺が用意したやつ?」
抱きしめたまま仁王が、後ろからスカートをめくる。柳生は慌てて裾を抑えるが白いレースの下着はすでに仁王の視界に入ったらしい。
スイッチの入った彼に鼻息も荒く押し倒され、若干の身の危険を感じ柳生は思わず後ずさった。
「仁王くん、少し落ち着いてくださ…っひ!ぁ…」
「無理じゃ」
今の仁王に聞く耳などなく、ベッドに押し倒したせいで広がるスカートから伸びる足の白さに喉が鳴る。
沸き上がる欲のまま、服の上から仁王は乳首を指で押した。
指先で何度かいじり、硬くなり始めるそこを口に含む。
「ぁ…っ!ゃ、ん…っ!」
「ん…嫌?こっちはそーでもなさそうじゃけど…」
言葉とともにめくられたスカートの中からは、面積の少ない布地では覆えない柳生の自身が反り返り存在を主張していた。
「…っ!」
あんまりな光景に、思わず柳生は顔を逸らす。
「かわいいんじゃから、よう見んしゃい」
むき出しの太ももをゆっくりと撫でながら、柳生がじれるの待って下着の上から中心を触る。
「あ…っ、ぁ…!!ぁん、や…っ!」
「なん?」
「よご、しちゃう…っから、脱がし、っあ!」
こらえるようシーツをぎゅっと掴み、涙を溜めながら懇願する柳生の額にキスを落とす。
「…だーめ。かわいいから脱がさんよ」
「…っ、ひっあ、やぁぁ…っ!!」
白濁を受け違和感ばかりを伝える下着の感触に泣きそうになりながら、柳生は仁王が手に取ったもの一一デジカメを見て、頭を抱えたくなった。
「後生じゃき、撮らせて?…つか、もう我慢できん…っ」
「この馬鹿っ…もう嫌です…っ!ゃあ、ん…っ!!」
部屋に響く水音と自分の喘ぎ声、そして何度も切られるシャッター音に、柳生は二度と仁王のお願いを不容易に聞く事はしないと心に誓った。