「おかしいなあ」
私は首をひねった。私と共に電車を降りた幼馴染は先程から携帯電話をいじることで忙しそうだ。
「おかしいなあ」
もう一度だけ、今度は少し大きな声で呟くと、幼馴染は嫌そうな顔でこちらを見た。
「うるさい、電話してんだよ」
「どこに」
「ケーサツ」
「いたずら電話と思い込まれて怒鳴りつけられるのがオチでしょ?やめときなよ、日本のケーサツはそういうの大っ嫌いだとおもうよ」
まあドラマだけの知識なんだけど、と心中で付け足した。幼馴染はポケットに携帯電話をしまいこんだ。
「で、どうすんだ」
「どうする、電車待つ?」
「今何時だと思ってんだよ」
「じゃあ歩いて帰ろうか」
「嫌だ、絶対に嫌だ」