小十郎の第弐衣装で小話
2011.11.13 Sun 00:40
「小十郎に新衣装が来ただぁ!?」
政務に勤しんでいた政宗は、その報せを聞いた瞬間に筆を放って小十郎の部屋へと走っていった。
期待半分と不安半分。前回の四分の一裸みたいな衣装だったら即効でやめさせるつもりだ。あんな見る箇所が一点しか無い様な衣装、着させて堪るか。
ああでも俺専用に俺の前だけでは着させよう。
うん、と一つ頷いた後、政宗は目的地に辿り着いた。
深く深く呼吸をして、逸る気持ちを抑えて。
「……よし」
ぐっと取っ手に手をかけて、政宗は力強く思いっきり障子戸を引いた。
そして。
「政宗様、如何なされた。驚いたではありませぬか」
「………っ!…、…………、っ……!!」
声も出ないほど見惚れる。政宗は、初めてそんな状況に陥った。
自室にいた小十郎は、与えられた新衣装を身に纏っていた。黒地に金の刺繍が入った豪華な着物と、愛笛が挟んである袴。その衣装は、前回よりは断然マシである。
しかし。
「だっ……駄目だぁあああ!!」
「はっ!?」
政宗は半泣きで叫び、小十郎に飛びついた。
唐突なことで意味が分かっていないながらも、しっかり主を受け止める小十郎はさすがである。
「ま、政宗様?駄目だって、…この衣装、似合わないでしょうか」
「似合ってる!ものすっげぇ似合ってる!もうすんげぇCoolですんげぇSexyだ!さすがは俺の小十郎だぜって自慢したくなるほど似合ってる!だから駄目なんだ!」
「はい?」
「お前、益々モテちまう!それだけは我慢ならねぇ!あいつらまたよからぬ妄想すんぞ!」
「……誰のことを仰っておられるので」
「とにかく駄目だ、その衣装はお蔵入りにしとけ!」
分かったな!と可愛らしいことを言う政宗に、小十郎は困った様な、しかし嬉しげに笑む。
政宗様、と優しく呼んで頬を包めば、しかめっつらがこちらを見た。
それにまた微笑んで。
「その様な心配をなさるな。画面外の輩には所詮何もできませぬ。しかし、貴方はできるでしょう?」
「……What?」
「この衣装を、その手で脱がすこととか」
「っ!」
ぼふっ、と政宗の顔が真っ赤に染まる。
いいのか?いいのか?と窺う隻眼は濡れていて、小十郎は色気をたっぷり放出した笑顔で頷いた。
その後どうなったかは、まぁ大体分かるだろう。
何だこれ。
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