2/5
家の完全に伴い、使用人を新しく2人増やす事にした。だが、この内1人はいけ好かない小男だ。
妻に媚を売り、情にほだされた妻が雇った者で、妻はこいつをいたく気に入っているが、私にはとても気に入る事が出来ない。
早くにこの男を追い出してしまおう。
2/8
メイドから聞いたが、何やらあの男が長男の事を嗅ぎ回っているらしい。一体どこから情報を仕入れたのか。
家族や姉以外に長男を知るものはいない。得た事は無いはずだ。
奴の行動には注意が必要だ。
2/16
妻に使用人を追い出すように相談したが、怒り出して話を聞いてくれない。
あの男にどれだけの信頼性があるというのか。甚だ、男にも妻にも疑問だ。
先日、エイミーから便りがあった。イギリスへ招待してくれるという。アゼルを連れて行く事にする。その間、妻と長男を残す事になるが、妻には注意するようよく言い聞かせて置かなくては。
2/18
妻がすっかり怯えてしまっている。何でも、化粧棚の上にあった手鏡が勝手に飛んで、壁に当たって割れたのだと。
私の気を逸らそうとしているのか。だが、あの様子では嘘を言っている様には見えない。
手に引っかけたのだと言ってやったが、どうにも落ち着かない。
3/3
何て事だ!妻が喋ってしまった!あの男だ、長男の事を言いふらすに決まっている。
どうにかせねばならない。
3/10
あれから大人しいが何を考えている?
妻が又、物が飛んだと怖がっている。あいつはおっちょこちょいだからと宥めようとしたが、今度はメイドまでもが同じ事を言い出した。からかっているのか?
3/15
昼、私が出掛けている間にそれは起こる様だ。
使用人全員が体験したらしい。
皿が飛んだり椅子が動いたりテーブルが揺れたり…。見知らぬ人影を見た者や声を聞いた者もいる。
信じられないが“ゴースト”というものか?
3/17
その“ゴースト”の仕業らしい現象でアゼルが怪我をしてしまった。飛んできた絵画の縁が頭を命中したらしい。
痛々しい包帯の巻かれたアゼルの額に、私は怒りを覚えた。
だが、止めさせる手だてはない。霊媒師を呼ぶべきだろうか。
3/22
思ったのだが、長男の事を誰かが知っていて、あいつに吹き込んだのではないか。
そうでなければ、あいつが知れたはずがない。行動を起こしたはずがない。
メイドか?使用人か?誰だ、私達を脅かすねずみは。
処分すべきねずみを捕まえなくては。
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問い詰めても否定してくる。
それすら嘘臭く聞こえる。
もしかしたらあいつら全員ぐるなのか?奴等を信用出来ない。
4/11
ついに私も見てしまった。
ベッドに入ろうとしたら、床頭台に置いてある蝋燭立てが吹っ飛んでいった。
全く驚いた。あれがあいつらがいっていた…。恐ろしい。次の休日に霊媒師を呼ぼう。
4/14
除霊をしたので安全だと言われた。一先ず安心だろう。
4/15
あの野郎!ペテン師め!
今日も私の蝋燭立てが吹っ飛んでいったぞ!
4/20
妻と相談をしたが、家自体が悪いのではないかという結論に達した。
ここは良い土地だ。なるべく離れたくはない。
この前に新しい家を建てる事にした。長男は未だにゴーストに何かされた事は無いらしい。近いのだし、長男は今の家に残してもいいだろう。
4/30
なんて奴だ!
やはりあいつはそういつ奴だった!長男を世間にばらすと脅迫してきた。
ばらさない条件に財産を半分寄越せと。
ふざけた汚い下種野郎。
赦しては置けない。
5/2
ついにやってやった!
殺してやったぞ!
だが気を抜いてはいけない。
使用人達が何を知っているか知れないのだ。