ジングル・ベルの音を辿り 現パロ サンタな作兵衛とトナカイな迷子組
 2011.12.20 Tue 01:04
さて、次の家は、と地図を広げて赤インクをなぞっていると、暇そうに欠伸をしていた三之助が地図を覗き込んだ。

作兵衛、知ってたか、地図をぐるぐる回しながら見るやつって、方向感覚が乏しいんだって。

てめぇが言うなばっきゃろう。着ぐるみの角を避けて思いっきり殴ってやると、左門がけたけたと笑ったのでついでに左門も殴ってやった。

ちっとは黙ってろ馬鹿共。ついたため息が白に変わったけれど直ぐに雪にまみれてきえていく。

方向音痴のせいでまともな仕事ができるはずもなく、何百年もの間、もしトナカイが操縦不能になったら、というトラブル例の練習用として使われてきたこいつらを、何故か俺は使いこなせてしまったので学校を卒業する際、トナカイは一人一匹だけもらえるはずだったのに、俺は二匹もらった。

学校側からしてみれば、ようやく出来損ないを押し付けるやつができた、ということなのだろう。

おら行くぞ。しっかり飛べよ。

ようやく目的地が見つかったので、二匹の肩を叩いてやるといつものように同時に空に舞い上がり、左右に別れようとしたので縄を手綱を引っ張って方向転換させる。

なぁ、作兵衛、クリスマスプレゼントは何が欲しいんだ?

突然、左門がそんなことを言い出した。サンタはプレゼントなんか貰えない。けど、トナカイにはプレゼントをやらなきゃいけなかった。

要らねぇよ、んなもん。おめぇらこそ、何が欲しいんだよ。

左門と三之助がこちらを振り向いた。馬鹿、危ねぇ、前見ろ、とは風でかき消される。

もうもらった。

と、三之助。

僕達にサンタが来ますように。

と、左門。

な、作兵衛がいるだろう?

あぁ、やっぱりお前らは馬鹿野郎だ。

それなら、俺ももうプレゼントはもらってるよ。

小さく小さく呟いたら、ツン、と鼻の奥が痛くなった。

―――――
カオスですね。

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