船で世界一周するくらいなら死んだ方がマシだ 転生三年生♀化あり
2011.10.27 Thu 07:58
桜の木の下で思わず立ち止まる。孫兵が冬眠から目覚めたらしい蛙を見て興奮したように報告してきたからでもあるし、数馬が濡れていたらしい桜の花びらを踏み転んだからでもあるし、三之助がふらふらとどこかに行きそうになったからでもあったけど、一番の理由が前から歩いてくる子が誰かに似ていたからだ。
腰まで伸ばされた長い髪が、春風に誘われてふわりと揺れる。その瞬間、意思の強そうな大きい瞳と目があった。
そいつに近づいていく。
「……また迷子かこの野郎」
「ふむ、どうやら乗る船の時間を間違えたようだな」
そいつは俺の姿を、アイロンがきちんとかけられているブレザー姿の俺を、遠慮なしにじろじろと眺めた。
「ついでに、乗る船の種類も間違えたが」
まぁいい。
そいつはからりと笑う。小さな小さな背には重たそうな赤いランドセルが跳ねる。
「みんなに会えたのだからな」
―――――
みんな男子高校生なのに一人だけ小学生でしかも女の子な左門。
高校生と小学生の兄妹を見て可愛いと思ったので兄妹話なつもりでしたが……どこかで道を間違えましたね。
多分この後、社会人の潮江と大学生の三木ヱ門と中学生の団蔵に出会います。
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