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 2013.08.17 Sat 22:43
−夜空に咲く花−
 

 夏の暑さが和らぐ夜
遠くで花火が上がる音を自室で確認したルーシィは金色の鍵を取り出す。

「開け、双子宮の扉……ジェミニ!!」
「ピーり、ピーり」

ルーシィの目の前に双子の星霊ジェミーとミ二ーが姿を表す。
窓の外ではドーン!っという音と共に夜空にきれいな花が咲く。
それを始めて見たジェミニは窓に近づき、ルーシィへと姿を変える。


「うわー!ねぇあれって何?すごくきれい」
「あれはね¨花火¨っていうのよ。夜空に咲く綺麗な花でしょ」


ルーシィはそういうとジェミニルーシィの隣へ行き一緒に花火を見る。

本当はロキと見たいけど…呼べない。
一緒に見てくれるかわかんないし、もしかしたら他の人と今頃…

ルーシィにはロキに対する一抹の不安があった。

それはこの間の事。
その日は珍しくルーシィからデートに誘っていた。
ロキと一緒に花火が見たくて、二人とも浴衣を着て花火を見に会場へ向かった。
そこは花火がよく見える山で、いろんな出店も出ていた。チョコバナナや、定番のたこ焼き。その他にも金魚すくいやお面屋台、ヨーヨーすくいなど、いろんな出店もあって楽しめるはずだった…
でも実際はどこ周っても「彼氏にしたい魔導士ランキング」上位に入っているロキを見るや否や女の子の取り巻きができ全然楽しめなかった。
ロキと一緒に花火を見たかったのに、こんなに女の子が多くては一緒に見れないと判断したルーシィは、ロキを置いて先に帰ってしまった。
周りを浴衣を着た女の子に囲まれていたロキがその事にすぐ気づけるはずもなく、気づいた頃にはルーシィは自宅で泥酔していた。
その時の記憶はルーシィには残っていない。
寂しさからやけ酒をしたところまでは覚えている。
ロキが慌てた顔で玄関から入って来たところまでうっすらと思い出せるがそのあとは全然記憶になかった。

あの時自分は何をロキに言ったのか知りたかった。酔っていたとはいえ、傷つける事を言ってしまったのではないだろうか。ただえさえ、自分からデートに誘ったのに置き去りにしてしまった。

許してもらえなかったらどうしよう…

その気持ちがルーシィの勇気を縛っていた。
そこでジェミニに ロキ に変身してもらい思考を読んでもらおうっと考えたのだ。

ルーシィは花火を見ているジェミニルーシィに呼び出したいきさつを話した。


「………っていう事なの。ジェミニ、ロキに変身できる?」


手のひらをあわせて頼むルーシィにジェミニルーシィは腕を組み「うーん。」っとうなっている。

出来ないのだろうか…

そう思った瞬間、ジェミニルーシィが白い煙に包まれたかと思うと中からロキが現れた。


「ちょっと変身するのに時間かかっちゃった。これでいいかな」


そういうとジェミニロキはルーシィの前でぐるりと回る。
どこから見てもロキだった。
久し振りに見るロキに笑顔がこぼれる。


「…ルーシィって僕といるときそんな顔しないよね。」
「えっ?」


少し怒っている様に思えたジェミニロキにルーシィは一瞬、本物のロキから言われているような錯覚に落ちた。
ジェミニにはいつも自分に変身してもらっているため、他の人の変身と言うものをあまり見たことがなかった。


「そんなことないよ!ジェミニにも、こうやっていつも笑ってるでしょ」
「本当にぃ〜」


ジェミニというよりロキぽいなぁと感じるルーシィだけど、これが変身の能力と思い早速本題に入る事にした。


「花火大会が終わる前に聞きたいの!!ロキはこの間の事怒っている?」


ルーシィの質問にジェミニロキは、右手をあごに当て考えている。そして窓から見える花火を見ながら答える。


「…あの時の事は全然怒ってないよ。僕も悪かったし。置き去りに去れたことは…正直めちゃくちゃ焦った。」
「…ごめんなさい」
「いいんだよ。ちゃんと家にいたんだし。ルーシィの姿を見たときは安心した。ちょっと怖かったけどw」


笑いながら語るジェミニロキに、ルーシィも安心していた。
ロキはあの時の事を怒っていない!

¨許してもらえなかったらどうしよう¨っという呪縛は
彼の笑顔を見ていたら吹き飛んでいた。


「ありがとう、ジェミニ。私勇気出てきた!!」


そういうとルーシィは、ジェミニロキの手を握る。
少し照れるジェミニロキをよそに、ルーシィは双子宮の鍵を取り出す。


「直接ロキに謝る!あの時はごめんなさいって。ありがとう、ジェミニ」


そういうとルーシィは双子宮の扉を閉門する。
けど、ジェミニロキは消えない。


「ジェミニ、閉門!!……ってなんで?」


閉門出来ないルーシィに、ジェミニロキが笑いだす。


「ルーシィ、何回やっても無駄だよ。だって僕¨ジェミニ¨じゃないもん」
「…。えっ?ってことはロキ?!」


まさかの事態についていけないルーシィ。

目の前にいるのが本物のロキなら、最初に呼び出して自分へと姿を変えた本物のジェミニはどこ?いつ、本物のロキと変わったの?

プチパニックになっているルーシィに、ロキが説明する。


「ごめんね、ルーシィ。騙すつもりはなかったんだけど、ジェミニと入れ替わっていたんだ」
「…いつから?」
「ジェミニが悩んでいるとき。ジェミニも困っていたしね」
「えっ?困っていたの?」
「そう!ジェミニは触れた人間には変身できるけど、僕は星霊だからね。変身出来ないんだ。でも大好きなルーシィからの頼みを断るのも辛かったんだ。だから、その時に変わったんだ」
「…そうだったんだね。」


ジェミニに悪いことしたなぁ。と少し反省する、ルーシィ。
そのまま、ロキのエスコートで窓辺へと移動。
ドーンと上がる花火の音で、我に変える。
夜空に咲く綺麗な花。
部屋の電気を消したロキが彼女の隣へやって来る。

次々に上がる花火に暫く沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのはロキだった。


「ルーシィ。この間はごめんね。一緒に花火見れなくて…」


その言葉に自分もちゃんと伝えたい事を思い出した。

ちゃんとロキに謝らないと。


「もういいの。私もロキを置いて先に帰っちゃったし。今こうして一緒に見れてるからいいの。この間はごめんなさい。」


素直に謝るルーシィに我慢できなくなったロキは優しく彼女を抱きしめる。


「ここは花火を見るには一番の特等席だよ。誰にも邪魔されないし、誰の目も気にしなくていい」
「誰の目もって―」


ルーシィが全てを言い終わる前に、彼女の唇をふさぐ。
窓の外ではハートの花火が上がる。


「ルーシィ、可愛いよ」
「なっ何よ!!するならするで―」


再び彼女の唇をふさぐ。
今度はさっきより長く、甘く…


「ふふっ(笑)ごめん」
「…もういいわよ」


またキスが来るかと身構えていたら、今度はロキの腕のなかで抱き締められていた。
そこはすごく暖かくて一番安心できる場所。

花火がまた上がる。


「ロキ…。来年もここで一緒に見ようね」


ルーシィの問いかけにロキは答えず、そっと口づけ。
それは『一緒に見よう』了解の合図。

夜空には大きな花が咲き乱れていた。



――― END ―――




3333hit 屡季様 リクエスト作品。第二弾!
ロキ × ルーシィ 甘甘

前作からだいぶんあいてしまいました(汗)
お待たせしました!3333hit第二弾です。

前回が七夕だったので、今回は花火大会をテーマに書いてみました^^
花火って見ている人の、ルーシィの様に堅いガードもやわらかくしちゃいますよね
そんなところを書いてみました
最後は暴走気味ですが(笑)

大変永くお待たせいたしました!!
屡季様のみお持ち帰り可能です★
3333hit ありがとうございました


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