学パロ:夏の魔力
2011.07.17 Sun 12:47
ギラギラの太陽の下、ボクは25mのコースが6本取れる、水色の塀に囲まれたとある容器を掃除していた。
そう、プールである。
「はぁー…」
ブラシに体重を預けながらゆっくりしゃがむ。
まず暑い。何よりも暑い。
長袖のワイシャツを捲り、黒の長ズボンをたくし上げたがそれでもまだ暑い。
一番の原因は、このおかっぱだ。
後頭部にたまる熱気と、首筋に流れる汗がなんとも気持ち悪い。
やっぱ始める前に進藤にゴムを貸してもらえばよかった。
ブラシを気持ちだけゴシゴシと動かす。
この小さなブラシじゃあ、あと何回ゴシゴシすれば終わるのか分かったもんじゃない。
ああもう嫌だ。
「とーや!」
「……あ?何?」
立つのも面倒臭くて顔だけ上げると、次の瞬間には唇に柔らかい感触が………って、
「え!!?」
カバリという効果音が聞こえてきそうな勢いで見上げると、今度はバシャンと顔面に水が大量噴射された。
「やーいやーい!引っ掛かってやんの!!」
「はあ!?」
進藤は金髪の前髪をピンであげ、右手にホースを持ってニタニタと小踊りしている。
──……ハメられた。
「進藤!!」
「元気出ただろー!感謝しろよなー!!」
「誰がするか!!」
「うわっ!ちょっ、タンマタンマ!!」
悔しくて苔が大量についたブラシをブンブン振り回すと、進藤はホースの先っぽを握ってボクに水をかけまくりながらギャーギャー駆け回り始める。
負けじとその辺にあった雑巾を思いっきり進藤に投げ付けると、そこから一気に乱闘に突入した。
後に全身びしょ濡れで苔臭い状態で発見されたボク達は緒方先生にこっぴどくお叱りを受けたのだった。
*
暑い夏の日に。
ちなみに夏の魔力にかかったのはヒカルです。
なんかキスしたくなっちゃったけど、恥ずかしかったので水かけて誤魔化しました。
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