旧永井家庄屋屋敷
2011.05.02 Mon 20:39
うだつの町並みを歩いて、永井小路(白虎「あうん」のうだつの横)を入っていくと旧永井家庄屋屋敷がある。
旧永井家庄屋屋敷は18世紀後期に建てられた。それから明治時代ごろまでに主屋の間取りの骨格が整えられていった。
趣のある門をくぐると小石が敷き詰められた庭に出る。すずかけ草の花が、いまはまだ咲いていないが植えられていた。咲いているのは岐阜とこの貞光だけだそうである。長いくきに紫色のはながポツポツ咲いてかわいらしい。
とおくから竹ぼうきで履く音が聞こえてくる入場無料なので、記帳だけして入った。6畳ぐらいの間がいくつも続く。玄関を入ってすぐの部屋は開け放たれていて、門をくぐったお客様をお迎えするかのように花が生けられていた。
琴のコンサートなどに使われる部屋からは、よく整えられた庭が見える。松や豆つげや飛び石がきれいだ。
ある部屋には歴史を感じさせる化粧鏡台がおいてある。その名もケショウノマだ。
隣の部屋には古文書や、鳴滝を描いた水墨画、貞光町内の絵地図が展示されている。
この主屋を出るときに気付いたのだが、天井近くの壁に、矛(ほこ)と槍がかけられていた。曲者があらわれたらこれで退治するのだろうか。
また、へやの奥に細い通路があって、武器をかけておけるような壁があった。細い通路をさらに奥に行くと行き止まりになっている。ここに敵を追い詰めたのだろうか?
外に出ると、管理人さんが居た。
「善左右衛門と申します。こんど観光課に配属されました。よろしくお願いします」
「私も4月に変わったばかりです。よろしくお願いします」
にこやかに挨拶をしてくださった。
主屋の近くの井戸を通って離れにむかう。離れは展示室に使われている。外側には男女便所がある。管理人室もあり、お茶を入れたり料理をしたりできるようになっている。
1階には、旧永井家庄屋屋敷の修復工事の様子が写真で紹介されていた。三度傘みたいなのをかぶった職人が、ショベルカーの前で築地壁を作る写真や、屋根のわらを葺く写真が展示されている。
水戸黄門のロケ写真もあった。
映画、天涯の花の撮影風景もある。
二階は、歴史的な民具を収めてある。
人力車の向こうには鷹の大きなびょうぶ。朱塗りの箱。天井には籠屋の籠がぶらさがっている。お琴にお雛さま。お雛さまの顔がまた、骨格のふくらみを細部まで表現していて美しい。
奥の間からは庭と、貞光の町並みが広がって見える。庄屋屋敷の周りも緑の芝生に整備してあって景観が調和している。
そのあと、庭園部分と、裏手の土蔵を見てから帰った。
けっこう急いで見たが、それでも30分ぐらいは見てまわった。
このような古い文化遺産だが、ここではよく、歌詠みの会やお琴のコンサート、日本舞踊や、五月人形の飾り付けなどが頻繁に行われている。
このように文化遺産に親しみを持って利用できるというのが、またいい。特別なものとしてではなく、身近なものとして感じられる場所である。
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