卯建(うだつ)の町並みを歩いてみた
2011.04.29 Fri 07:31
小さい頃から見て育ってきたはずなのに、じっくりと見たことはなかった。
「うだつ」とは、家事が燃え広がるのを防ぐために屋根の両側に設けられた、ちっこい壁みたいなものである。
貞光のうだつには、鏝絵がほどこされている。
観光パンフレットを片手に、私は自分が生まれ育った商店街を歩き始めたのだった。朝6:00である。長い影が一宇街道にのびる。出勤の車や散歩している人にすれ違った。
松尾神社のある、北側から見ていくことにしたので、いちばん最初は北町小路(しょうじ)の“二層厨子上下共切妻型”である。屋根が二つ乗っかったうだつだ。
次は、お米屋さんのところにある“単層二階切妻型”だ。言葉の意味ひとつひとつはワカラナイので明日以降また調べる。
よく見ると鏝絵(「こてえ」漆喰細工)がついている。ガイドブックによると“磯”だそうだ。岸壁に打ち寄せる荒々しい波しぶきには、防火の願いがこめられているらしい。
自分の家の前をこっそり通り過ぎた。私の家も商店なのでうだつがあるのだが、真っ青なデカイ看板の後ろになってしまって隠れているではないか。しかも昔は隣の民家も商店だったのだがやめてしまったため、隣と二つで1組だったうだつは、うちんく(我が家)片方の一個だけになってしまっている。やれやれと思いながら足早に通り過ぎた。
★★★★★★★★★★
ゴミを出している人とすれ違った。そういえば今日は燃えるゴミの日だった。アパートに帰ったら忘れずに出さねば。
見てみたかった白虎の鏝絵のところに来た。左右に「あうん」一組でそろえられた鏝絵。
防火壁の性質上、うだつはいつも屋外にあって風雨にさらされている。お日様にもがんがん照らされる。こんな芸術性の高いものを惜し気もなく外気にさらすとは。
屋根から下ろして博物館に入れてしまえば長持ちはするかもしれないが、それではうだつにならない。第一、うだつは屋根のうえで生活とともにあるから生きてくる。だとしたら、よく見て自分の記憶に残しておくほかないのだろうなあ。
そのあとに「鯉の滝昇り」「松と鷹」と続く。鯉の滝昇りは、細かい細工が見事だ。松と鷹は、立体的な構図で、鷹が大きく飛び出している。
ガイドブックで紹介されているのは、テクノスクール前までで、ここで引き返すことにした。
あと、うっかり、うだつの写真を撮らなかったので、明日また町を歩いて撮るつもりである。代わりに道しるべの写真を撮っておく。
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