(歌舞伎の舞台風)
カンカンカン……と拍子木の音が響く。
総悟「一座高う席にござりますれば、御免こうむりいただき、これより新春の口上を申し上げ奉ります」
総悟「ご来場の皆々様、新年明けまして」
全員「「おめでとうございます」」
神楽「旧年中はいづれも…?さまには格うえのお引立賜りましたことを一同心より感謝申し上げ立て祭り(?)ますアル」
銀時「それでは此より一人ずつ、皆さまに新春のごあいさつをさせていただきたく存じます」
近藤「真選組局長、近藤勲にございます」
近藤「漢(おとこ)勲、今年も愛に生きたいと思います!! お妙さーん! 愛……」
スッコーン! 何処かからか笛が飛んできて、近藤の額に命中。
シーーンと静まる場内。
……。
土方「真選組副長、土方十四郎にございます。えー、旧年中は真せ……」
銀時「ちょーっと待ったァ!!」
土方「なんだよ、万事屋」
銀時「なにナチュラルに挨拶始めてんの? 多串君」
土方「テメェ、今年もそのネタ引きずるつもりか。近藤さんの次は二枚目の俺って決まってんだよ」
銀時「よく言うよ。前口上の時に一言も喋んなかった奴が。二枚目はこの銀さんなんですーー!」
土方「ああ? そっちこそ死んだ魚の目したヤローが。俺のにらみは天下一品だぜ」
銀時「やんのか? コラァ」
土方「上等だ。表出ろや」
新八「ああっ! もうお二人とも何やってんですか!?」
山崎「新年くらい真面目にやってくださいよ〜」
新八、山崎が二人に近寄り、諫める。
「「うっせ! お太鼓が」」
山崎「な! 太鼓、馬鹿にすんな〜!」
新八「けっこう重要なんだぞ!」
ますます騒がしくなる舞台。
ギャーギャーと五月蠅くなっていく。
ダンッ!!
神楽「いい加減にするアル!!」
神楽が足を踏み鳴らし、立ち上がった。
夜兎の本能が出掛かった眼で騒ぐ面々をひたと見据えた。
神楽「人がせっかくまともに言えた前口上、無駄にする気かしら?」
普段の訛りを捨て去った冷たい声に、すぐ黙り込む。
「「「「すんまっせしたぁー!」」」」
神楽「歌舞伎町の女王こと、神楽アル。酢昆布の初夢を見て、酢昆布をたくさん食べるアル!」
総悟「真選組一番隊隊長、沖田総悟でさァ。今年こそ副長の座を手に入れてみせやす」
土方「オイ!」
総悟「本年もお引立のほどを隅から隅までずずずいーとぉーー」
全員「「御願いあげーー、奉りまする」」
カンカンカン、カカン
再び、拍子木の音が響き幕切れとなったのだった。
END
〜あとがき〜
明けましておめでとうございます!
銀さんたちが歌舞伎町に住んでるから歌舞伎風にしたのですが……アレ? 当初のコンセプトは当サイトからの初笑いを皆さまに!だったはずのに。
雰囲気を出したくて今回は台本書きです。苦手な方、いましたらすみませんでした。
読んで下さった方、貰って下さった方、ありがとうございました。
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