美食6の新刊!
 2013.03.30 Sat 05:57
 ご無沙汰しております。
 とりあえず、新刊でそうです。
 今回は、みのれ様に素晴らしい表紙を描いていただきました!!
 ココさんが神主さんなパラレルです。が、神主さんなんだなー、という場面もあまり出てこない雰囲気のみの中二病小説です。
 入稿済んで、思い出せば思い出すほど平謝りの残念仕様。(素晴らしい表紙を描いていただいたため、もう逃げ出したいくらいの申し訳なさです)どうしてこうなった・・・!?って感じの、トリココ←ブランチのお話が一本掲載されています。でもトリココ描写がほとんどなくて、それどころかトリコはほんのちょびっとしか出てこないという破廉恥さ・・・!
 一緒に載せようと思っていたトリコとココの出会い編やら、マッチの話やら鉄平の話やら、なにやらかにやらが全然書けなかったので、本当に説明不足な感じです。(どういう形でかは解りませんが、こつこつ書きたいと思ってます。)
 しかも、凄く時間が無くて、本当に小説一本+後記みたいな仕様で、なんの言い訳も補足も出来ていないというか、一話目にするはずだったトリココ話も載せなかったので、設定やら神社の外観やら何やらがきれいに抜けている不親切さでございます。
 そしてふと我に返ってみると、ブランチとココががっつりイタシテいる訳でもなく、トリコとココのそういうシーンがあるわけでなく(笑)せめてブランチに一回ぐらいヤらせてあげればよかったなー。
 そんなブランチの捏造度はハンパないです。関西弁は嘘くさいし(笑)   
 
 と、読んでみる気も失せるような、セールスポイント皆無な新刊ですが、夜も寝ないで一生懸命書きました。
 

 「ゆめゆめうたがうことなかれ」
 A5/36P/¥300

 です。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 あ、スペースbキらお知らせしていなかった…!

 ア34 「虹のかけら」です。

 皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
 話しかけるのがとても下手くそなので、是非お声かけください。

 この下にサンプル掲載します。本当にトリココ←←←ブランチな感じです。



「ゆめゆめうたがうことなかれ」一部抜粋


 それから、この天狗は一年に一回か、あるいは二回、こうして気まぐれでココに逢いに来るのだ。
「頻繁って、精々一年に一回か二回だよね。ブランチが来るのって。」
「なんや。もっといっぱい逢いたかったんか?」
「そんなことは言ってないよ。…ただ…ブランチは変わらないな、と、思って…」
「ココかて全然変わらんで?ごっつピュアピュアでかんわいいやんけ!」
 三十近い男に平気でそんなことを言う天狗に、ちょっとだけ頭を抱えたくなるココだ。どんな不思議フィルターがついているのか。この天狗の目には。
「かわいいって、…ボクもう二十七だよブランチ」
 呆れたようなココに、ブランチは満面の笑みで答える。
「そんなん、知っとる知っとる。魂の話や。ココは幾つになっても何者になってもピュアピュアや。ああ、ココはココなんやなぁ、って。」
 優しい目のブランチに見つめられ、ココは何だか恥ずかしくなった。
 ピュアだピュアだと繰り返されて、どうしようもなく後ろめたい気持ちになる。
 ブランチだって、知ってるくせに。
 神職に在りながら、年下の同性に身も心も明け渡して、夜毎快楽に溺れている自分を。
 ココの脳裏に、ふいに、からりと明るいトリコの笑顔が浮かんできた。
『ココ!ココ!』
 自分の名を呼んでくれるトリコの声に、特別な響きを感じてしまうココだ。 
 微笑むと、野性的な、男らしい印象が和らいで。優しさが前面に出る。大声で笑うと、年より幾つか若く見えて、何だかかわいい。

太陽のようなトリコ。

 ココは、例え神に罰を与えられても、トリコと言う存在を諦めることはできないだろうと思う。

「なんや、えらい幸せそうな顔しおって…妬けるでぇココ…」
 そんなココの思考を終わらせたのは、ブランチの低い声音だった。


「もう、一遍貫通してるんやから、ワシも味あわせてもろてもええよな?ココのかわええ桃尻。」

その言葉を聞いた途端、ココは全身の肌がぞわりと逆立つのを感じた。
 目の前のブランチからとうとうと発せられているのは、負の電磁波だ。今までの良く知る(と思っていた)天狗は誰だったのか、一瞬で解らなくなるほどの禍々しさ。
「…ブランチ…」
 呟いたココの声が、上手く発せられずに喉に絡まる。恐怖の所為だ。
 禍々しいまでの妖気を向けられて、ココは初めて知った。今まで、どんなにこの天狗が自分を特別に思っていてくれたのか。
 そして、どんなに強大な力を持っているのかを。
 逃げろ、と、ココの頭のどこかで警笛が鳴っている。
 ブランチの大きな手が、ココに伸ばされた。
 鉤のような爪のある手だった。
 そんなブランチの手を、ココは始めて見た。今までは、人間となんら変わらない手だったのに。
 はっとしてブランチの顔を見ると、ニィっと笑った口元から、牙が覗いている。
 その口が、ココに「逃げた方がええでココ」と、囁いた。
「…ワシのものにならへんのやったら、いっそのこと全部食べてしもたらどうやろか…って、思っとる」
 小さくて低い声が、ココの耳に届いた。


―――――嫌われた方が幸せっちゅうこともあるやろ?ココ。


 ココが神前に供えるために切った榊の枝が、床に散らばっていた。
 ブランチは、拝殿の床にココを押し倒そうとする。
 ココが何とか逃れようと身を捩じると、ブランチは白い袖から覗くココの腕を掴んで阻止した。
 ココは、掴まれた腕を取り戻そうと、躍起になる。
「やっ・・・」
 一般人に混ざったら頭一つ抜きんでる身長のココだが、ブランチの方が遥かに勝っていた。力に至っては、妖怪と人間。恐らく倍も違うだろう。
 ココの体は、呆気無くブランチの腕の中だ。
 しかしココは、ブランチの肩を必死に押し返し、何とかその拘束から逃れた。
 走り出そうと一歩歩を踏み出した所で、後ろから抱きしめられる。
 ブランチには、まだ充分な余裕があった。その気になれば、ココが動けないように術をかけることも出来るのだから。
 でも、今は敢えてそうしなかった。

「なんや…無理矢理ちゅうのもええもんやなぁ」

 理由はそれだ。
 ブランチはニヤリと下卑た笑いを浮かべる。

「嫌がっとるココが、ワシのマラにずっしーっとくるでぇ」

ココの抵抗など、ブランチにとっては、楽しい余興でしかないのだ。
 その証拠に、ココがどんなに抗っても、ブランチが少し力を込めただけで呆気なく床の上に転がされる。
 昨日ココが、トリコと一緒に心を込めて磨いた拝殿の床の上に。
「逃げんなや…ココ…今までやって何回もイかせてやったやろ…?」
 耳元で囁かれ、ココは闇雲に頭を振った。
 そうかも知れない。
 そうかも知れないけれど、ココにとってこの行為は、全く違う意味を持ったのだ。


 始めてトリコと触れ合ったあの夜から。


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